面接会場で。
翌日。
あの後、鈴花は病院に行き、足は全治一ヶ月と申告された。
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同日。
あの後、同じく生き残ったあの男は就活していた。
その場所は、偶然にも鈴花がいる研究所であった。
―――
実は、あの男が所属する革命グループは、あの男以外にも生き残りは存在していた。
今回、就活という彼の事情を利用し、あの計画の情報を持っていそうな会社に行き、ハッキングして入手するという作戦であった。
―――
面接室前。
トイレに行きたいと男は近くにいた案内係に言うと、親切に案内してくれた。
トイレに着くと、女性用のトイレから左足に包帯して松葉杖をついて歩く少女を見つけた。
(あの女は……!!)
男は少々焦り、急いで男性用のトイレに入ると、左の耳に付けていた通信機の電源を入れ、トイレの個室に入り、流すと、小声で、
「間違いない。ここが奴らのアジトだ」
と仲間に連絡を取った。
『OK。じゃあ、ハッキングを開始しまーす』
返事が来ると、彼はトイレを出て、「ありがとうございました」とお礼を言うと、一人で面接室の前に戻った。
―――
男の番になり、ノックして入ると、昨日、彼女を連れ去った仲間の男がいた。
「神谷陽介君ねぇ……」
男はそう言うと、陽介は黙っていた。
「……思い出したよ。君、十年前の第一次計画の失敗作だね?」
「……一体、何のことでしょうか?」
「とぼけても無駄だ。……それに、昨日のことで君はもうここに就職出来ない。
ここは、冷静に話し合おうではないか」
「……『話し合い』ですか。
では、はっきり俺の意見を言わせてもらう。今すぐ第二次計画を中止し、破棄しろ。そうすれば、もう俺たちはお前らを探ったりしない」
「……悪いがそれは出来ない。何せ政府が関わる計画だからね」
と言うと、男は机に向かい、そこにあったマイクの電源を入れ、
「お客様のお帰りのようだ。……準備しろ」
男はそういうと、ドア、向かいの窓から、武器を持った十人くらいの男たちが現れた。
「クソッ、マジかよ!?」
陽介は用心用に剣を超能力でYシャツに付けてある缶バッジに物質変換して隠していた剣を取り出し、鞘を抜いた。
「なるほどー。力は小さいが、何でも出来るということですか」
と言うと、男は一息ついて、
「殺りなさい」
男が命令すると、武器を持った十人くらいの男たちは、陽介に襲い掛かった。
……と同時に。
『ハッキング完了! 作戦終了よ!
陽介、そこから出れる?』
「……ハァ!? 無理に決まってるだろう!?
今、戦闘中!!」
陽介は通信機に大声で答える。
『いい? よく聞いて!
今から、この研究所の主電源を切る! その後、煙幕を投げて逃げて!』
「いつ!?」
そういうと、陽介はドアの近くに寄った。
『今から切る!』
「……ハァ!?」
そう言ったと同時に、灯りが消えた。
男たちが動揺している間に、陽介は煙幕を投げて近くにあったドアを剣で穴を開け、逃げた。
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あまりに小さい個室だったので、煙幕が完全に消えるのが遅くなり、消えた頃には陽介は研究所を出ていた。