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許せ、勇者ども!!  作者:
本編
2/20

いつも通りのはずが……

 ある日の夜。


 鈴花たちは、いつもの口止めの作業をし始める。


 ―――


 今回は警察は来なかったので、あっさりと勇者のアジトに侵入できた。


 そして、ドアの前に着き、

「政府の暗部でーす。命令により、あなたたちを()りに来ましたー」


 と、毎回の如く鈴花が大声かつ棒読みで言った。


 そして彼らは口止めを開始した。


 ―――


 鈴花は刀を華麗に振っていった。


 その刀の先で一人、また一人と倒れていく。


 護衛の人たちは唖然としていた。


 ―――


 最後の一人。


「あなたがリーダーですか?」


 鈴花は残っていた茶髪で赤いコートを着た一人の男性に声をかけた。


「あぁ、そうだ。……俺がリーダーだ」


 低いかつ憎しみがこもった声で言い、続ける。


「あんたらはこんなことをして気持ち良いのか?

 あんたらはあんなことをする奴らの下で働いて、楽しいか?

 俺は奴らが憎い……無論、あんたらもだ」


 しばらく沈黙が続いた。


「あたしは……」


 鈴花は言い、刀を構えながらリーダーに向かって走りだす。


「……好きで、こんなことをやってる訳じゃない!!」


 そう言った直後、二人の刀が相対し、長い長い戦いが始まった。


 ―――


 その戦いが始まった直後、一人の男が3分に設定した時限爆弾を仕掛けた。


 もちろん、相手のリーダーは知らない。


 ―――


 2分30秒後。


 二人の戦いはまだ続く。


 そして、相手のリーダーの刀が鈴花の足を斬った。


(クッッ!! 足が……!!)


 鈴花の左足が斬られて、使えなくなってしまった。


 その時、鈴花は時限爆弾のことを思い出した。


(あと…………10秒!!??)


 彼女は慌てて天井に刀を刺して小さい穴を開ける。


「どうした!? ……逃げるつもりか!?」


 ……9……


 二人は戦闘を再会する。


 ……8……


 まだ続く。


 ……7……


(まずい。もうこれ以上は……)


 ……6……


 鈴花はもう一度、天井に穴を開け、元々あった穴を大きくする。


 ……5……


 鈴花は相手のリーダーを振り払った。


 ……4……


 鈴花は倒れている相手を引き摺った。


 ……3……


 鈴花は引き摺られた相手を下敷きにし、穴の先へと登り始める。


 ……2……


 斬られた左足がどうも上手く動かず、痛みが走り、力が出せずにいた。


 ……1……


 ようやく登りきり、近くにあった岩を下に落とす。


 …………0


 ……爆発した。


 案の定、鈴花は無事だった。


 そして、下を見下し、静かに哀しげな顔でこう言った。


「許せ、勇者ども。

 あたしは妹を守るため、こうするしかないのだ」


 そして、死んでいるかどうかを確認した。


 ―――


 その後、すぐに迎えの車が到着し、そしてそれに向かうときに……。


「へぇ〜。『妹を守るため』……か」


 その声に鈴花は驚いた。


 開いた穴の近くにあの男が立っていた。


 確かにあの男は死んだはずである。


「だったら、俺は『救って』やる!!

 あんたの妹も、それで縛られているあんたも……!!」


 彼女は泣きそうになり、目に涙が溜まる。


「……何を!!」


 その思いとは裏腹に別の――むしろ逆の言葉が出ていた。


 そして、鞘に収めていた刀を抜き、走り出そうとした、

 その時。


 後ろにいた車に乗っている仲間の男が彼女の手を取り、


「止めなさい。その怪我ではあなたに勝機はありません」


 そして、ドアを閉め、続けて、


「あと、今後一切、あの男の言葉に耳を傾けないでください。さもないと、妹は……。

 もう、お分かりですね」


 仲間の男は怖い笑顔で彼女を見つめた。


 鈴花は手を震わせ、うつむいていた。


 車が走っている中、日は昇り始めた。


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