あの日みた綺麗な夕暮れを①
父さんと、母さんが殺されたあの日から何日経ったのであろう。私はまたあの悪夢を見ていた。
それは、父さんと母さんが私を守って死んだ夢。
そして、犯人に向かって叫んだあの言葉で夢は終わる。
「コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルーーーーー!!!!」
ーーー
目を覚ますと、見慣れない近い天井があった。横を見ると窓があり、そこを覗くと雲が下にあり、一面に青い空が広がっていた。
私は、両親が死んでから父方の祖母に引き取られた。それから祖母と共に飛行機に乗っているところだ。
「……可哀想に。とても悪い夢でも見たんだね。でも、大丈夫。それを振り払う力をこれからあげるからね」
祖母が私の頭を撫でたら、再び眠気が襲ってきた。
ーーー
飛行機から降り空港から出ると、私は霧の深い森へと連れて行かれた。しばらくして祖母と歩くと、少しだけ霧が晴れてきた。
「ここが、今日から君が住む村、忍村だよ」
そこはまだ霧は濃いが、自分が以前に住んでいた町より遥かに空気がおいしく、のどかな村であった。
そして、そこから祖母の家へと連れて行かれた。そして、そこで祖母からこんな言葉を聞かされた。私の暗い俯いていた視線を一気に上げさせられた。
「ここ、忍村はこの国の暗殺者を作るための村だ。明日からお前には、暗殺者となるための訓練を受けてもらう。……いいね?」
私は口を開けて唖然と祖母を見た。
「……暗殺者……?」
「……あぁ。君は何せ、あの男の娘だからね、才能はあると思うよ」
「……暗殺者に、なれば、あの男も、殺せるの……?」
「……あぁ、そうだとも。私たちはあの男に匹敵する力を……いや、あの男を圧倒する力を君に身につけさせてあげよう」
祖母が差し出した手を私はそっと掴んだ。
ーーー
次の日から暗殺者になるための訓練を私は休み無くこなしていた。
ーーー
それから5年の月日が経った。
私は、訓練生が受ける最終試験にトップで合格し、ある闇企業の黒服部隊に就職が決まり村を出ることを許された。
そしてそこでも良い成績で2年でそこのリーダーとなった。
ーーー
リーダーになって1年経ったある日の事であった。
今日も仕事をしに会社に向かい、黒服に着替えているとき、ある噂を耳にした。
「忍村が焼け野原になったらしい」
彼女はそれを聞いて、噂を話した男の胸ぐらを掴み、彼を睨む。
「……もっとよく聞かせろ」
低い声で脅す彼女に、彼は「俺もそこら辺で聞いただけでそこまでわかりませんよ、リーダー」と焦りながらも目をそらす。
……チッと舌打ちをして彼を薙ぎ払った彼女はそのまま部屋を出て行ってしまった。
ーーー
翌日、たまたま休暇をとっていた彼女は真実を確かめるため、村へと戻った。
彼女は森の近いところで気に登り、風景を見下げた。しかし、そこで待ち受けていたものは彼女にとって悲惨なものであった。
村は焼かれ、周りの森も見るも無惨な姿へと変わっていた。
「……どうして、な……んで?」
「そりゃ、暗殺者なんて作ってるからだよ」
「……なっ!!!」
全然気配に気づかなかった。普段、何時何時でも人の気配にだけは細心の注意を払っている彼女だが、それでも気づかなかった。まさか、犯人か……?
「あんた、何者?」
彼女は彼を睨む。それにしても聞いたことがある声だと不思議に思う。
「……君の、あの男だとだけ言っておくよ」
「…………!!!」
彼女は10メートルほど彼から離れ身構えた。しかし、彼はその場で苦笑しながら両手を挙げる。
「ハハハ、ここで戦うつもりは無いよ。……じゃあね、お嬢ちゃん」
彼は乗っていた木から後ろに倒れるように落ちて消えていった。
中途半端ですが、内容的にも長いので今回は2つに分けました。
てことで、次回はこれの続きです。




