最終決戦・四 〈決着〉
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
地面は揺れ動き、天井が崩れ落ち始める。
ーーー
「……何? 今の……」
白い髪の少女は、陽介に向かって刺そうとした右手の剣を止めて、その状態のまま不意に崩壊していく天井を見上げた。彼はその隙を見て、「同じことを言わせるな!」と叫びながら剣を左斜め下から振るい上げて、彼女の右手に持っていた剣の先端を斬り抜いた。
「なっ……!」
明らかに動揺している彼女を、ここぞとばかりに追い詰める陽介。
「何で、こんな事が……」
剣を振るいながら、彼女は小声で唇を震わせた。
「お前、爆発音が聞こえなかったのか」
「……ッ!!」
同じく、剣を振るいながら答える陽介。
「俺はこの部屋以外の音が聞こえないように耳栓してたから聞こえなかったが、……戦いに集中し過ぎていたか」
「…………」
「お前たちが各々の部屋に入る時の事を思い出せ。ドアは二種類あっただろう?」
「……ッ!!」
「木で出来たものと石で出来たものだ。ーーお前ら二人が石で出来た方を選んだらどうしようかと思ったがーー、石で出来た方には、ある仕掛けを仕込んだ」
「…………」
「……意外だな。気にならないのか」
「……私には、どうでもいい情報だ」
「そこにはお前の妹もいたはずだろう」
「妹? ……私は知らない」
「……なっ!!」
彼が一瞬だけ動揺したのを彼女は見逃さなかった。
彼女は防御していた自分の剣から彼の剣を振り払い、そのまま彼の身体を目掛けて舞う。しかし、彼は一歩下がって舞った剣へ足をつけて、そこから、飛ばされた自分の剣を取るためにその上へと飛び跳ねた。
それを見た彼女は、それを追いかけるように飛び跳ねて、彼に向かって背後から一振り。
彼は剣を手に取ると、飛び跳ねた彼女に向かって回りながら一振り。二人の剣が相対した。
「……『知らない』……だと? じゃあ、なぜ今お前は……」
「お前を倒す。……それだけだ」
その赤い目は今まで以上に彼を睨むと剣を強く振り、彼はその反動で壁まで飛んで行き、その壁も完全に崩れてしまった。
「本当に、残念ね」
崩れ去った壁から出来た岩たちをどうにか退かした陽介は、右手に剣を持って、歯を食いしばりながら立ち上がる。
彼女は、一歩、また一歩とゆっくり歩いて来る。
彼女は、勝利を確信していた。
ーー目の前に、大きな岩影が現れるまでは。
「危ない!」
陽介は走り、彼女の後ろへと回り込み、左手で透明な円を作り出した。
「……なんで……私を……?」
「……言ったろ? 『俺はお前を救う』って」
「……ヒック……ハ?」
「お前が覚えていなくても、俺は覚えている。だから、救ったまでだ。……てかお前、泣いてるのか?」
「ヒック……なっ、泣いてなんかない!! ただ、……ちょっと風邪気味なだけだ!」
「そうか……。……なっ!!」
「……どうした?」
「どうしたもこうしたも無い!! 前を見ろバカ!! ……俺もこれで限界だ。これじゃあ防ぎようが無いぞ!!」
二人の視線の先には、先ほどの岩よりも何倍も大きな岩があった。
ーーー
金髪の猫耳をつけた少女は、それを見ていた。
「お姉ちゃんたちが危ない! ……どうにかしないと……」
目の前にあれと同じくらい大きな岩がある。
……これをどうにか動かせないだろうか。
でも、まだ頭痛が激しい。ガンガンする。超能力を使うとなると、それ以上だ。そうなると、正確にコントロール出来ない。だとすると、二人にもっと危害を及ぼすかもしれない。
しかし、彼女にそんな事を考える暇など無かった。
「やるしかない!!」
凄まじい頭痛で彼女の視界がぼやける中、彼女は、最後の力を振り絞ってその岩を空中に動かすと、陽介たちに襲いかかろうとしている大きな岩に向かって、思いっきり投げた。
「行っけえええぇぇぇぇーーーーーーー!!!」
彼女の声と共に、二つの岩が割れる音が大きく響いた。
そして、辺りは真っ白になった。
「お姉ちゃん……大丈夫……だよね」
彼女は崩れるように、倒れた。




