最終決戦・三 〈爆発〉
白い髪の少女は、陽介の顔の真横に左手にある剣を刺し、微かに笑みを浮かべた。
「形勢逆転……ね?」
彼は、彼女の先に視線を向けた。
「それは、どうかな?」
その言葉と同時に、一つの銃弾が彼女の左手に持つ剣の取手を目がけて放たれた。
「……っ!!」
彼女が二、三歩下がって辺りを見回している、その隙を見て、彼は「よそ見をするな!」と叫びながら、彼女の元へと向かって背中へ一振り。それに気づいた彼女は、慌てて一歩下がり、彼が振り落とした剣を残りの右手に持った剣で受け止める。
「さっきの言葉、そのまま返させてもらおう」
「…………チッ」
彼女は、右手に持った剣を両手に持ち替えて、彼を振り払う。そして、先程と同様に、彼女のもう一つの剣がある所へと彼を追い詰め、もう一つの剣を抜き取る。
「……残念ね。これで終わりよ」
怖くなるほどの無邪気な笑顔で、彼女は彼の心臓を貫こうとしたが……。
ーーー
一方、新が起き上がると、どこからか、銃弾が彼の持つ剣を狙って撃って来た。それを軽々しく交わして、「おいおい、二対一って、それはずるいんじゃない?」と、どこからか駆けつけた真由美に出血している左手に包帯を巻いてもらっている雅に向かって彼は叫んだ。
「……もう大丈夫。ありがと、真由美」
雅はそう言って、彼女からいくつか短剣をもらい、立ち上がった。
「決着を、着けよう!」
雅はそう叫ぶと同時に、両手に短剣を持ちながら彼に向かって走り、また、彼も彼女に向かって走った。
彼女は、彼女の左手の短剣と彼の剣が相対したと同時に、軽く跳ねて彼の後ろへ回り込み、右手の短剣で彼の背中を斬り、そして、右足で彼を蹴った。彼は跪いた。
「これで……終わりよ!」
と、彼女が右手に持っていた短剣を両手に持ち替えて振り下ろす、まさにその瞬間だった。
ーーー
ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!
地面は大きく揺れ、天井の大きな岩がどんどん地面に落っこちてくる。
ーーー
「しまった、忘れてた!」
雅はそう叫んで短剣を離し、新の胸倉を掴んで真由美がいる所へ走る。
真由美がいる所へ着いて、三人は天井が崩れていくのを見ていた。
「なぜだ……?」
「…………?」
「……なぜ俺を助けた?」
「……ハ?」
「俺はお前の家族や故郷の敵だ。……殺さない理由なんてないだろ。なのに、……なのに、なぜ俺を助けた?」
新は低い声で雅を睨む。
「あんたを殺したところでどうにもならないし、報われない。それに、罪を裁いてくれるのは、法だ」
雅は新を見ずに、無表情で答えた。
「……そうか」
彼は、そう言って天井が崩れていくのを眺めていた。




