最終決戦・二 〈形勢逆転〉
「さぁ、始めよう。……殺し合いだ」
その言葉を合図に白い髪の少女は、陽介の後ろに素早く回り込み、彼の背中を狙う。
しかし、彼はその動きに颯爽と反応し、鞘を抜きながら後ろへクルリと回って、二人の剣は相対した。
「さすが……と言うべきか……。やっぱりそう簡単には行かないわね」
睨む少女。
「……舐めるな」
彼はそう低い声で言い捨てて、彼女を振り払う。
彼女はそこで体制を整えると、再び彼の元へと走り、今度は直前でジャンプして、彼に斬りかかる。しかし、彼は剣で一旦防御して、すぐさま後ろへ回り込んだ。そして、彼は背中を狙ったが、そこに彼女の二本目の剣が相対した。
「なっ……!」
彼は、素早く後ろへ下がり、体制を立て直す。そこへ、彼女が二本の剣を持って今までよりも速いスピードで走り、彼を追い詰める。
彼は二本の剣に対応できず、ついに、円の形をした壁まで追い詰められてしまった。彼女は微かに笑みを浮かべた。
「形勢逆転……ね?」
ーーー
一方、こちらも、
「決着を、着けようか」
という言葉を合図に新が動き出した。
雅は、走ってこちらに向かう新に後ろに下がりながら短剣を何本か投げる。しかし、いずれも剣で弾き返された。
後ろに下がって行くうちに、円の形をした壁にまでたどり着いた。そして、彼女は壁を後ろ走りして、そこから助走して顔を軸にして身体を回転させたと同時に、短剣をこの至近距離から投げ、彼はそれを必死に剣で弾く。
しかし、雅が回転させた身体の一部の右足は、見事に彼の背中を直撃した。彼は、その反動で、剣を放してしまい、そして、仰向けに倒れた。そして、彼が立ち上がろうとすると、雅は短剣で彼の首に刃を向けた。
「動いたら……わかるよね?」
彼を睨む。そうすると、彼はニコリと笑った。
彼がまだ出していない剣を、左手から鞘をコソコソと抜き、そして、それを、彼女の左手の甲に軽く刺した。
彼女は、素早く彼から引き下がり、左手を右手で抑え、舌を噛み、彼を睨む。彼は、少しずつ身体を起こした。
「どうだい? ……形勢逆転だ」
ーーー
「うっうう……。やっと頭痛が収まって来た……」
豹柄の猫耳を付けた金髪の少女は、辺りを見渡す。
「さっきのロボットといい、爆発といい、なんなの? ……全く」
彼女は少しだけ穴があいた天井を見上げた。
「ああ、もう夕方なんだ……ってアレ? ……横の部屋の方にヒビが……」
彼女はイヤな予感がした。
「大変! ……お姉ちゃんたちが危ない!」




