表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
許せ、勇者ども!!  作者:
本編
12/20

最終決戦・一 〈侵入〉

 運命の午前零時。


 陽介たちは自分たちのアジトであり、公開実験会場でもあるこの場所に細工をした。


 そして、陽介はデモ隊とこの場所に来るようにと連絡を取った。


 ―――


 それから一時間が過ぎた。


 九条は、実験体を連れてこの場所にやって来た。


 そこには、デモ隊はもちろん、報道陣も沢山集まっていた。


 九条は叫んだ。


「It's show time !  実験開始だ」


 ―――


 廃墟のとある小部屋にて、真由美はすべての部屋に設置してある監視カメラの映像を見て、


「何が『It's show time!』よ、気持ち悪い。……ていうか、顔も思ったほどカッコ良くないし、むしろキモイわ」


 そう吐き捨て、無線を取り出して、


「こちら真由美。敵がキモイ顔で宣戦布告してきました。どーぞ」


『こちら陽介。予定通りに始めろ。どーぞ』


「了解、じゃ、ロボットを起動させまーす」


 棒読みで応えて、スイッチを押す真由美であった。


 ーーー


 石で出来た頑丈な入り口のドアを実験体たちの超能力で放たれたビームにより、あっさりと破壊する。そして、実験体たちと一緒にいた白い髪の少女がその勢いで中に入っていった。


 報道陣は、驚きざわめき、あとを追いかけようと試みるが、デモ隊が道を防いで動けずにいる。この辺りは、陽介たちの想定内である。


 そして、中に入って来た実験体たちを待っていたのは、外観とは全く異なるまるで高級ホテルのような廊下に聳え立つたくさんのドアであった。そのドアの数は偶然にも実験体たちの人数と一致していた。


 しかし、そのドアには二種類あるようだ。一つは、先程のような石で出来ていて、頑丈でドアノブが無いドア。もう一つは、木で出来たごく普通のドアである。


「木で出来たドアが二つ。……完全に仕組まれたな」


 少女と一緒にいた九条新が呟く。「どうする?」


「ドアノブが無い石のドアにどうやって入るの?  ……剣なんて使ったら、斬れ味が悪くなるわ」


「それでも人間ならいける。……と言いたいところだが、こだわりを持っているお前に言っても仕方ないな」


 少女は微かに笑みを浮かべた。


「あたしがドアを開けたと同時に、皆は先程と同じようにドアを破壊して!」


 皆が頷く。


「せーの!!!!!」


 そう言って少女が開けると共に、爆発音が響き渡った。


 ーーー


 石で出来た頑丈でドアノブがないドアを超能力で放たれたビームにより、先程と同じように破壊した実験体たちは、素早く各々の前に立ちはかだっていた部屋に入っていった。


 その部屋の中にいたのは、五十センチくらいの円柱に半円に手書きで描かれた顔があるロボットがいた。


 それを認識した実験体は破壊しようとする。


 しかし、そのロボットが超音波を出すと、実験体の超能力が使えなくなり、床に倒れて動けなくなってしまった。


 その実験体は、破壊したドアに向かって頭を抱えながらもなんとか動こうと、仰向けになって、片腕、そして反対側の片腕、と、その方向に交互に腕を出して身体を押し出す。


 しかし、破壊したドアがあった場所の頭上から、鉄格子が降りてきた。


「ザンネンデシタネ」


 ロボットがそう言うと、いきなり爆発してしまった。


 そして、実験体の頭上から、天井の大きな岩が落ちてきた。


 他の実験体も同様の出来事が起こった。


 ―――


 一方、九条新は、木で出来たごく普通のドアを開けて入ると、そこには雅がいた。


「なんだ、君か。……前は僕を見た瞬間から怒りが爆発していたのに、今日は比べものにならないくらい冷静だね」


 彼は鼻で笑う。


「アンタがあたしと戦うことは作戦計画に入っていた。……それに、あたしの過去とも決着を着けたいと思っていたからね」


 雅は彼を睨みつける。


 そして、彼は鞘から剣を取り出した。


「決着を、着けようか」


 ―――


 その一方で、白い髪の少女は、九条新と同じくドアを開けると、そこには陽介がいた。


 少女のこれほどまでにない殺気が漂い始める。


(……演説の時に感じた殺気だ……)


 彼は、そう確信した。


「久しぶりだな。……暫く見ないうちに、随分と雰囲気も変わったな」


 彼が挨拶をする。


「……敵に挨拶をされる筋合いは無い」


 少女は、鞘から剣を取り出し右手で構えて、怖い笑顔で、言う。


「さぁ、始めよう。……殺し合いだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ