表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
許せ、勇者ども!!  作者:
本編
11/20

最終決戦の前日

 デモの執行から三週間後。


 陽介たちは、相変わらずアジトでのんびりと生活している。


「暇〜〜〜〜!!!!」


 ソファーの上でファッション雑誌を顔に被せながら、足をじたばたする真由美。


「そんなに言うなら、雅の手伝いをしたらどうだ? 少しは時間を潰せるんじゃないか?」


 刀を砥石で磨ぐ陽介。


「だって、雅が『手を出すな』って言うんだもん」


「お前、子供か!! ……それより、陽介。いい加減、動いたらどうだ?」


 射的を見事にど真ん中を撃ち抜く誠護。


「……今、何をどうする事もできない。向こうの反応を待つだけだ」


「……でも、潰すなら今しかないだろ」


「今、潰したところで、得たものは何もない」


「…………?」


「……むしろ、失わせるだけだ。人体実験をされた者の未来も。――あの女の未来も」


「そんな感情論で、動かなかったら、いつまで経ってもこの問題は一生解決しないだろう!?」


「……最後まで聞け」


「…………?」


「俺たちは向こうがバラしたくないことをバラしたんだ。当然、このまま放っておく訳にも行かない。だから、近いうちに向こうが、攻めて来るに違いない」


「えっ、マジで!? セキュリティ強化しとかなきゃ!!」


 焦ってパソコンを操作し始める真由美。


「でも、それじゃあ……」


「……あぁ、わかってる。その後の事は、俺に任せとけ」


 胸を叩き、笑顔を見せる陽介。


(不安だ……)


 一人で頭を抱えつつ、射的の的から大きく外す誠護であった。


 ―――


 同じ頃、九条たちは、陽介たちのグループを潰す最終調整をしていた。


「いいか!? この戦いは、反逆者を滅ぼす第一歩となるはずだ……。心してかかれ!!!!」


『ハッ!!!!』


 九条晶は、作戦を説明した後、そう言って会議室を後にした。


 ―――


 一方、陽介たちも最終調整に入っていた。


 そんな中、暇そうな陽介はソファの上に寝転びながら、テレビのニュースを見ていた。


[いやー、とうとう、明日ですね]


[そうですね! この前のデモで、どうなる事かとヒヤヒヤしてましたが……]


(まさか……)


 それまで気楽な気持ちでいた陽介は、身体を起こし、顔を顰めた。


[皆さん、もうお分かりでしょう! 公開実験が、明日未明、××県◯◯市の廃墟で開始されます!]


『ハァ!!!???』


 そこにいる全員の手が止まり、沈黙が続く。


「明日って、あの明日ですか……?」


「……みたいだな」


「しかも、このテレビに映ってる廃墟って、ここじゃあ……」


「おい、真由美!! ボサッとしてないでさっさと作業しろ!!」


「わかってます!」


「……今日は徹夜だな」


「それだけは勘弁して〜」


 真由美は焦りながらも作業を再開する。


「……ファァ」


 陽介は欠伸をする。


「俺、明日に備えて寝る」


 そう言って、自室に向かう。


「おい、陽介。お前は準備は出来てるのか?」


 誠護は陽介に聞くと、陽介は今までに見たことがない真剣な顔で答えた。


「……当然だ。俺は、その日のためにここまで準備してきたんだ。武器から費用まで、全てな」


「陽介……」


「『明日のことを思い悩むな』」


「…………!!」


「『その日の苦労はその日だけで十分である』。……この言葉、お前が俺に教えたんだろ? ……誠護」


「…………あぁ、そうだったな」


「……みんな、そういう事だ。明日、0時にここで作戦を発表する。じゃあ、おやすみ〜」


 そう言って、笑顔で手を振りながら自室に向かう陽介だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ