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許せ、勇者ども!!  作者:
本編
1/20

主に、こんなことをしています。

 真夜中のとある街中のビルとビルの間の一番奥で、上半身は着物で下半身がスカートという妙な服を着ている少女の、その赤い凹型の髪留めでツインテールにされた白い髪が風でなびく。


 彼女が背伸びをすると、左腰に鞘に収められた刀がカタカタと揺れ、そして、叫んだ。


「ここかーーー!!」


「おっ……、お前、何叫んでんだ!!

 もし、こんなとこでアイツらに見つかったら……」


 後ろに並んでいる黒い服装の人々の先頭の男が、慌てて小声で注意をする。


「大丈夫。

 もし、来たとすれば、あたしが全部、()れば良いじゃん。

 それに……」


 不意に少女の言葉が途切れた。


 男が言った「もしも」の事が、現実のものとなったからだ。


「君たち、こんな時間に何をやっているのかな?」


 男が言った「アイツら」とは、警察のことだ。


 近年、全ての警察官が完全に武装し、相手が武器を持ち次第、っても構わないという条文が締結した。


 その警察官は二人いた。


 そのうちの一人が、


「こんな時間にこんなところで、そんなものを持っていたら、逮捕せざるを得ないな〜」


 と挑発的な口調で言うと、少女は警官たちを睨みつけながら聞き返す。


「嫌です……と言ったら?」


「力付くでも」


 その言葉を合図に、警官たちは、走り出た。


 手には警棒。どうやら、本気で彼女を潰す気のようだ。


「ここはあたし一人で十分」


 しかし彼女も食い下がる気は全く無い。鞘に収められていた剣を右手で取り出し、両手に構え直して、警官たちとの間合いを見計らう。


「だが……」


 と男が何かを言おうとした瞬間、もう勝負はついていた。


 風切り音と共に少女の横薙ぎの一閃が二人の警官を切り払ったのだ。


 男を含む黒い服装の人々は呆気にとられていた。


「どうしたんですか?

 早く行かないと朝になりますよ」


「せっ……、セキュリティ解除班、そこのロックを解除しろ」


 男が命令すると、その人々によってロックは解除された。


 中は下に続く階段になっていた。


 少女たちはその階段を下った。


 その時に、「最初の話の続きですけど、もし()っても、あたしたちにはお偉いさんがいますから、大丈夫ですよー」と少女は独り言のように話していた。


 ―――


 最下部のドアの前に着き、男たちが緊張している中、少女はそれを気にせずに、


 バタン!!


 右足でドアを蹴り、


「政府の暗部でーす。

 命令によりあなたがたを()りにきましたー」


 と少女が大きな声を出すと、男が小さな声を出して聞く。


「ちょっ、お前!!

 まだ作戦も決まってないのに……」


「じゃあ、あたしの指示通りにしてください」


 と少女は振り向いて彼を睨み、その後は敵を確認するために、前へと向いた。


「基本的にはあたしの援護。後、ザコも頼みます」


 今度は仲間の男たちを見ること無くそう呟くと、一人で行って鞘から刀を抜いて振るい始めてしまった。


 男たちは仕方なく少女の言う通りにすることにした。


 ―――


 最後の一人。


「あなたが革命家の主将ですね」


 少女が最後に残った一人の男に確認する。


 だが、その男は怒っていた。


「よくも……仲間を……」


 少女の仲間の男が口を開く。


「どうやら、そのようだな。……あの人から貰った顔写真にそっくりだ」


 それを聞くと、少女は、


「あなたが主将だということがわかりました。私は今から本気であなたを殺しに行きます。覚悟はよろしいでしょうか?」


 彼女は無表情で聞くが、男の精神はそれどころではなく、


「よくも……よくもーー!!」


 と叫び、近くにあった刀を拾い、そして、突進してきた。


「ハァ。……本気も出すまでもないですね」


 少女はため息をつき、走ってきた男を呆気なく突き刺した。


 刀は男の身体を貫通し、彼女が抜くと、そこから大量に血がシャワーのように溢れ出た。


 そして、男は倒れた。


 少女は倒れた男の近くに寄って、


「戦う相手には名を名乗るのが一般的らしい。だから、一応、名乗っておく。

 あたしの名前は今野(こんの)鈴花(りんか)だ」


 と低い声で言うと、鈴花は一回、深呼吸をし、険しい顔で続けて、


「闇は深い。……あんたたちが思っている以上にね。生半可な気持ちで立ち向かえば、行く先は死よ。

 ……この世界を、甘く見ないことね」


 鈴花は両手に持った剣で男の心臓を刺した。


 そして、その状態のまま、彼女は静かに涙を流し、鈴花は小声でこう言った。


「許せ、勇者ども。

 あたしは妹を守るため、こうするしかないのだ」


 ―――


「終わりましたか」


 鈴花の仲間の男が話し掛けた。


「あぁ……終わった」


 鈴花は無表情ーーしかしながら僅かに哀しげな笑顔で返す。


「もう、行きましょう。朝ですよ」


 男が彼女の肩を軽く叩き、爆弾を仕掛けて帰って行った。


 やがてその爆弾は爆発し、鈴花たちがやったこと全てが削除された。


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