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第九話 異空間
部屋の明かりが灯っている中、俺が目にしたモノは…
おびただし量の血液、すでに殺された後の人間の頭、腕、足などが物干しに吊されている様、これから調理されるのを順番待ちしている哀れな生贄たち…。
まさに、気が狂いそうになるような状況だった。
……待てよ。
「そういえば、夕食で出された、あの肉の量……ウッ!」
先程食べたモノが、腹から喉へ逆流してくるような感じを覚え、急激な吐き気に襲われた。
気付かれないように、そっと扉を閉め洗面所まで再び手探りで進む。
…どうなってるんだ?
…何で人間を料理しているんだ?
この暗闇が一層恐怖心をあおりたてる中、やっとの想いで洗面台まで辿り着いた。
恐らく、琢也はもう…。
「朱音と啓に知らせないと…」
気分も落ち着いたところで部屋へ向かおうとした矢先に、頭に急な激痛が走るのを感じた。