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第十二話 悪魔
調理台の上に縛られている啓は、ガタガタと震えているのが良くわかる。
まさか、意識のある状態で啓を…
…悪魔だ。
こいつらは、人の姿をした血も涙もない悪魔だ!
先程の男の手には、職人の使うようなデカい包丁が握られている。
そのまま、啓の胸から腹の辺りまで手で一度なぞった。
その後に、啓の顔を覗きこみ頷いた。
……どうやら、どの場所を、捌くか決めたようである。
男の手に握られている包丁が天高く翳された。
そして、次の瞬間、男の手が勢いよく振り下ろされた。