先生の最後の原稿
初めまして。
この作品を読んでいただき、ありがとうございます。
小さな違和感から始まる、短編ミステリーです。
ぜひ、最後まで読んで事件の真相を考えながら楽しんでいただけたら嬉しいです。
「きゃー!!」女性の叫び声が館内に響きわたる。「おいおい夜中に何事だよ」「み、見てくださいあれを」その瞬間俺は絶句した。目の前で人が殺さていたのだ。
サイレンが鳴り、警察が続々と到着した。「おー、内村くんもいたのかい」そう俺は内村という名で探偵をしている。刑事とはもう何度も会ったことがある。「刑事死体の状況は」「死体は何か刃物のような物で首元を刺されたと考えられてるようだよ、今から容疑者を集めるから、君も捜査を手伝ってくれ」とりあえず俺は現場の状況を見ようとしたそのとき「一体何があったんですか、こんなに警察が来て」1人の若い男が走って現場にやってきた。「あなたは誰ですか?」「俺は松田や、ここに泊まっててもう夜やから寝ようと思ってたら警察がたくさん来てるからびっくりして、走ってきたんや。誰が刺されたんや」刑事にその対応は任せるとして俺は容疑者が集まるまで現場を観察しよう。
「これは......」こんなところにペンのキャップが落ちていた。「どうしてだ?」とりあえず刑事に伝えよう。「刑事このキャップ見てくれ、なんでこんな物がここにあるんだ」「それなら被害者の倉田さんは作家だったそうだ。死ぬ直前にも執筆作業をしていたそうだよ。ほらその証拠に机を見てみ」たしかに机の上には原稿が置かれていた。その端にはいくつかの電話番号と出版社の名前が走り書きされている。そこにはメモも置いてあった。「なにかをアピールするためみたいな文章だな。倉田先生はもう十分売れていた作家だったはずだが」「随分とたくさん書いてあるな」刑事が言う「先生、何か調べてたんですかね」俺はその紙を一望しただけで、その場を離れた。しかもキャップが外れた万年筆もしっかり置かれていたことも確認した。「なら争ったときにキャップだけ落ちてしまったのか、にしてはキャップの場所が不自然なような」しかもキャップとペンで色が大きく違った。俺が知らないペンもあるんだなと思っていたら、容疑者が集まったようだ。
「田中です、私は松田くんと一緒に倉田先生の元で弟子をやらせてもらってました。今日は3人で泊まりで稽古の予定でした。」「そうなのかね、松田さん」「ああその通りだ。それなのに先生は誰かによって......」最後の1人が「貝瀬です、私は普通に今日この旅館に泊まりに来てました」「何をしに来てたのかね」刑事が聞くと動揺した素振りで貝瀬は答える。「今日はその、ナイフを買いにここに来ました。近くにいい店があってどうしてもそこで買いたくて」なるほど、3人とも怪しくはあるか。「なあいったい先生は誰に殺されたんや、俺の作品を夜に読むって約束やったのに。」「みなさん事件が起きたときは何をしていたのですか」刑事が全員に向かって言う「私は部屋で作品の執筆を行っていました。一人だったので証明はできませんが」「俺は現場に来た時に言ったけど、もう寝ようとしてたんや。昼間は執筆作業をずっとしてて疲れ果ててたんや。そんなことより俺の作品だけ返してくれ、そこの机に置いてるの、汚されたら困るんや。」「だめです、まだ現場の証拠として必要なので、最後に貝瀬さんは」「私は部屋で買ったナイフを使って、切れ味を確かめたくて肉を切っていました。ですが何故か刃こぼれしていたのでそれはもう捨ててしまって」「それはどこに捨てたんだね」「え、えっとどこかのゴミ箱ですよ」私は一つ疑問に思い田中さんに質問をした。「普通自分の作品を先生に読まれるときはどうするんですか」「やっぱりとても緊張しますよね、どんなこと言われるかわからないので、全然落ち着けないです。」「なるほど、刑事、犯人がわかりました」「なに!一体誰なんだそれは」「犯人は松田さん、あなたですよね」「おいおい、一体どういうことや、何をもって俺が犯人やと思ったんや」「まず最初は何も思いませんでしたがよくよく考えると変でしたね、あなたは最初現場に来たとき『誰が刺されたんや』と言いましたよね」「それがどうしたんや」「どうして刺殺だと分かったんですか?」「そ、それはあれや、血が出てたからや」「血が出ていたとしても、それだけでは刺されたとは限りませんよ。」「それに銃声とかもなかったし、尚更そう思ったんよ」「ではもう一つあなたに聞きましょう、今あなのペンを見せれますか?」「い、今は無理や、ちょうど持ってないだけや」「田中さんあなたは見せれますね」「はい、作家なるものいつでも持ち歩いてます」「ほんまにたまたま今ないだけや、普段は持っとるねん」「私は気づいたんですよ、万年筆とキャップが一致しないことに、おそらく犯人は何かが理由で倉田さんに激情、そのままの流れで持っていた万年筆でキャップを抜き首元に刺した。しかしそのときホテルの人間が来ることに気づいた犯人は焦って机の上のキャップを取って逃げた。しかしそれは自分のではなく、先生のキャップだった。だから今犯人は一致しないペンとキャップを持っているんですよ」「刑事、田中さんのペンを見てください、この万年筆しっかりキャップとペンが一致していますよね。」「そうだな、これは二つで一式となっているものだな」「松田さん、ペンを見せてくれますか」「あ、あれや今日は俺ペン持ってくるの忘れててないねん」「あらそうですか、なら何故あなたはさっき昼間執筆作業をしていたと言ったのですか?ペンを持ってないなら出来ないんじゃないですか」「そ、それは......」松田は言葉を詰まらせる。「頭の中でしていたとでも言うつもりですか?」「......そうや、頭の中で考えてやってたんや」「まだ認めないようでしたらもう一つ伝えましょう、あなたは事件が起きたとき寝ようとしてたんですよね、しかし倉田さんはあなたの原稿を読んでる最中だった、普通ならそんなときに寝れないんじゃないですか、ねえ田中さん」「あ、はい、少なくとも私は寝るなんてそんな冷静でいられません、早く感想が聞きたくてずっと起きてます」「松田さんまだ言い逃れする気ですか」「く、くそ!!そうだよ!俺がやったんだ、あいつ何回作品を見せようが俺のことを認める気はなかった。その癖して田中の作品は何度も認められて書籍化されてた。俺は納得いかなかったんだ!今回もそれで、俺はもう耐えられなかったんだよ」
「では松田さん署まで」「わかりました」「松田さんの作品を認めてなかった訳ではないと思いますよ、私がさっきここの机を見たときには分かりませんでしたが、あなたの動機を聞いて気づきましたよ。原稿用紙やそこのメモ、色んな出版社への連絡先やアピール文が書いてあります。倉田さんはあなたの実力を買って色んなところに話をしてくれていたんですよ。」「そうだったのか、俺は、じゃあなんてことを......」松田はうつむいたまま、それ以上何も言わず警察に連れていかれた。こうして事件は解決し、また日常が始まるのだった。
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