お隣さんの訪問
「ピンポーン」
202号室、私の部屋のインターホンが鳴った。私はベッドでウトウトしていた。ヘッドボードの置時計を見ると朝の10時を回っていた。私はインターホンに向かい、対応する。
『あの、隣の201号室に住んでいる小池です。あのーもし良ければ実家から送ってきた葡萄を召し上がっていただこうと思いまして…』
隣の小池さんだ。私はインターホンで応える。
「あ、ありがとうございます。今開けますね。」
そう言って私は玄関に出た。小池さんの実家が長野で葡萄農家をしているらしい。小池さんだけでなく、一緒に女性も着いて来ていた。
私はドアを開けるなり、
「先日はシャインマスカット、ご馳走さまでした。」
小池さんは不思議そうな顔をして、
「え?シャインマスカット??」
と小声で言った。その後、
「良かったら葡萄を召し上がってください。うちの実家で採れたナガノパープルです。沢山送って来たものですから…」
「え?ナガノパープル?あ、ありがとうございます。」
今度は私が不思議だと思った。
(シャインマスカットは何だったのだろう?)
ナガノパープルを2房受け取った。これは有難い。
そして、小池さんの隣にいた女性が口を開いた。
「はじめまして。私は輝、あ、この人の恋人です。『あいり』って言います。」
ニコリと笑顔で挨拶してくれた。
「え?はじめまして?」
「えぇ、はじめましてですよね?」
とても感じの良い女性だ。髪はロングでスラリとしてスタイルも良い。
(この人があいりさん?美人だけど…。でも、あれ?ショートカットじゃないんだぁ…)
私の頭の中はクエスチョンマークが沢山出ていた。
少し私は間を空けてしまったが、
「あ、こんにちは。はじめまして…」
と挨拶を返した。
「いつもお騒がせして、すみません。」
と、あいりさんが言った。
(ん?お騒がせとは… エッチのことか… いつも聞こえてるのは、この人の声かぁ。セクシーだなぁ。)
私は一瞬のうちに目の前の女性が乱れているところを想像して恥ずかしくなり、顔をやや伏せぎみにしてしまった。いつもその声を聞きながらオナニーしているのだから…。
「もし良かったら、今度一緒にお食事でもいかがですか?嫌でなければ、ファミレスでとか。」
あいりさんが食事に誘ってくれた。
多分、社交辞令だろうとは思うが。
「あ、嫌だなんて、とんでもない。お邪魔じゃなければ。」
(こんな感じの人なら、いいかも。)
と少し思った。
小池さんにいただいたのは紫色をしたナガノパープルという高級な葡萄だ。
(やったぁ。これはラッキーだ。でも何かでお礼しないとな。)
「ありがとうございます。」
こうして、お隣さんの彼女さんとも知り合いになれた。
(あれ?でも、こんなこと前にもあったよな。デジャヴ??)
(あぁ、それにしても外は暑いなぁ。あれ、小池さんもあいりさんも半袖だ。あれ?私も半袖着てる。ん?もう正月じゃないの?葡萄って… 今何月?)
頭の中が混乱して、
「あ、ちょっと…」
と私は言って、部屋の壁にかかっているカレンダーを見た。月めくりになっているが、9月になっていた。
私は小声で、
「あれ?今日は何日?」
と言うと、
「9月27日の土曜日よ。」
とあいりさんが教えてくれた。
「え?まだ9月?」
「そうね。まだ暑いわね。」
あいりさんはにこやかな表情で私を見つめていた。
小池さんと彼女は帰り、私はいただいたナガノパープルを冷蔵庫に入れた。
(あぁ、あれは夢だったのか。あいりさんの髪は実際長かった。夢の中のあいりさんは髪が短かった。あれ?私はなんであいりさんの名前を知ってたんだっけ?さっき初めて会ったはずなのに…。あ、そうだ。壁の向こうでイチャイチャしてるのが聞こえた時、小池さんがあいりさんの名前を言ってたんだった。)
何だか不思議な感じがする。
(あっ…)
我に返ると…
(あぁ、おまんこがグショグショに濡れてる… こんな状態で小池さんと話したなんて恥ずかしい。シャワー浴びなきゃ!)
それ以降、週末は時々あいりさんとも会い、玄関先で挨拶するようになった。あいりさんは私に笑顔を向けてくれて、手を小さく振ってくれるようになった。私としては気分が良い。
月日は経って11月29日土曜日、小池さんとあいりさんが一緒に居る時に玄関先で会った。あいりさんが、
「あ、来週なんだけどもし予定が空いてたら、土曜日のお昼にでも一緒にファミレス行かない?」
と言ってきた。
「えっと、12月6日ですね。空いてます。お邪魔じゃなければ、よろしくお願いします。」
「じゃ、また詳細は連絡するね!あ、そうだ。連絡先交換しなきゃ。」
「そうですね。お願いします。」
私はあいりさんとチャットで連絡取れるようにした。
「あ、輝はダメね。うふふっ…」
輝はちょっと冗談ぽく
「浮気なんかしないよぉ。ねぇ。」
と、私の方を見ながら言った。
「舞ちゃん、あ、舞ちゃんって呼んでいい?」
「いいですよ。」
「舞ちゃんが可愛いから、心配でね。」
とあいりさんが言った。
「そんなことありませんよ。」
私はちょっと慌ててしまい、顔を伏せてしまった。




