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平和大船  作者: 藤本レン


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8/22

根負け

体力測定


それは小学生から行うあの体力測定である。


誰しもやりたくないと思いながら、やらされていたあの体力測定である。


それを怪我で2週間、意識不明の寝たきりの状態から、いま目覚めて数時間後に体力測定を始める。


「…ということであってます????」


あまりに突然で、訳の分からない状況に対し、頭がハテナで埋めつくされる。


「はい!その通りです!」


あまりの元気の良さに聞き間違えたのかと錯覚するほど優平の理解は追い付かなかった。


なんとか、体力測定から逃れようと脳みそをフル回転でひねり出した疑問を伝えてみる。


「あの~、僕一応2週間ぶりに目が覚めて体も痛みますし、そもそもまだ完治しきってないのに体力測定やるんですか??」


目覚めたてという条件に、最強の切り札である体の怪我を理由にして、できないように見せかける。


「実はですね!今の優平さんには、動いてはいけないレベルの怪我はもうないんですよ!」


しかしまさかの、最強の切り札であると思っていたものが秒で粉々にされた。


(二週間で骨折とかって治るものなの??)


「それって本当に治ってるんですかね…?詳しい検査しないと分からないんじゃ…」


詳しい検査もしていないのに治ってると言われるのはいささか納得できない。


「実は、昨日詳しく検査したんですよ!その時に骨折もほとんど治ってて、動いても問題ないくらい回復してるって、先生が仰ってました!」


不満を顔に出していた優平に対して帰ってきたのは、問題ないとのことであった。


「検査結果もちゃんと書いてありますし、安心してくださいね!」


「くっ!!」


診断書を突き付けられてはどうしようもない。


「でっでも、今日からやる必要はないんじゃないですか?」


さすがに、逃げることが出来ないと悟った優平は、せめてもの抵抗を試みる。


「明日からになると私の予定的に、ちょうど休みと被っちゃって、ほかの看護師さんが担当することになっちゃいますね…」


美波さんの落ち込んだような表情を見て、罪悪感が湧いてくる。


「じゃあ、今日からやります…」


「ほんとですか!!私、嬉しいです!!」


優平は、まぶしいくらいの笑顔と引き換えに、険しい道のりを選ぶのだった。


そうして体力測定を行うことになった優平。


全8種目を3日に分けて行うと伝えられた。


記録用紙と共に種目の日程の紙も渡され、早速予定を確認する。


「どれどれ…」


一日目は、長座体前屈、握力、上体起こし。


二日目は、立ち幅とび、反復横とび、ハンドボール投げ。


三日目は、50m走、シャトルラン。


という日程であった。


「最後にきついの詰め込むの性格わっる…」


寝たきりから起きて体力テストが開始されるまで、後2時間。


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