表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和大船  作者: 藤本レン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/22

手打ち

残っていた一人を続けざまに行動不能にしてやろうとするが、リーダー格の「ソウゴ」と呼ばれる大男に阻まれてしまう。


「今お前から取ろうとしたものは全部返してやる。だから今回はお互い手打ちにしよう。」


俺は理解が追い付かなかった。


「自分たちがピンチになったら逃げるのかよ。」


今の俺には目の前の敵を痛めつけ、手を出したことを、生きていることを後悔させてやるという、残虐な衝動で突き動かされていた。


「そうだぜソウゴ。ここまでやられておいて引き下がれるかよ!!」


残っていた男が啖呵を切り、ソウゴの指示を無視して襲い掛かろうとする。


俺の方へ来ると感じた、その瞬間――


「……馬鹿が」


ソウゴの手刀が男を気絶させた。


白目を向いたまま、その場に崩れ落ちる。


「何のつもりだよ。敵に情けでもかけようってか?」


優平の殺気が、ソウゴへ鋭く突き刺さる。


しかし、意にも介さない素振りで、床に落ちていた袋の中から、金のバッチと時計を手に取る。


「ほらよ」


突然、その二つを投げ渡してくる。


反射的に受け取りはするが、雑に投げ渡されたことに強い苛立ちを覚える。


「俺は、お前とやり合う気はない。お前も怪我が酷い。早く病院に行け。」


そして自ら気絶させた男を担ぐ。


「つまり、自分は手を出してないから戦いたくないってことかよ?仲間がピンチなんだぜ?」


そう言いながら横でうずくまる男を見下ろす。


「もう一度言うが、俺はお前とやり合う気はない。今やったところで、俺が勝つ。」


その通りなのに、どこか挑発ともとれる発言であった。


体格差も激しく、こちらは満身創痍。


現状勝ち目は無いに等しいだろう。


そんな当たり前なことを、頭では理解していた。


そんな中、俺が出した答えは、


「じゃあ試してみるかぁ?!」


心の中の衝動に従うことだった。


拳を固く握り、乱れた呼吸を整えるように息を吸う。


ぼやける視界であっても大男に向かおうと左足を踏み出す。


だが——


グラァ……!!


世界が傾く。


平衡感覚を失い、膝から崩れ落ちてしまう。


俺の体は既に限界だった。


痛みを感じていなかっただけで、実際には立つことも難しいほどダメージを受けていた。


呼吸も乱れ、だんだんと視界がぼやけていく。


「ク…ソ………が…。」


そう言い残し、握り締めた時計とバッチと共に、俺の意識は途切れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ