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平和大船  作者: 藤本レン


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22/22

病院とは

「美味しそうなお魚食べてきたんだろうな~ どこだろうな~ 私も食べたいな~」


ちらちらとこちらを見る美波さん。


「優平さんってば、見過ぎですよ~?」


つい見過ぎてしまい、とっさに目を逸らして顔を逸らす。


が、逆に覗き込むように迫ってこられる。


すると、


「じゃあ、お外でこっそり食べてきたことは内緒にしてあげます。その代わり今度、その食べてきたお店に連れて行ってください!」


という提案が持ち掛けられた。


(これってデートのお誘いなのでは?)


意図してなのか、はたまた意図せずなのか、どちらにせよ断ることもできないため、その提案を受け入れた。


「やったー!!楽しみにしてますね!」


「あっ。明日は8時に検診しに来ますからね!忘れないで部屋に居てくださいね!」


そう伝えられ、ウキウキで部屋を出ていった。


「ふぅーーー」


やっと一息つける。


「今日は疲れたなぁ。」


時刻を確認すると、20時30分。


ちょうどいい時間なのでお風呂に入って寝ることにした。


「部屋の中に風呂もトイレもあるとか、ホテルかってレベルだな…」


この部屋の待遇の良さに改めて関心した。


後は寝るだけにになり、思い切りベットにダイブする。


「今日は疲れたなぁ」


目覚めて数時間後に体力テスト、それがあと二日続く。


突然現れた特殊な力のことや、時枝のおっさん。


持ち寄り屋の酒飲みたちにタイさん。


あと、イケおじがいたこと。


そして、美波さんとの(おそらく)デートの約束。


いきなり人生の歯車が回りだしたような不思議な気持ちに包まれながら、重い瞼をゆっくりと閉じた。


——ぼんやりとした意識の中、何か光を感じる。


温かみのある光を認識し始めたとき体は、


「優平さん、起きてください!」


寒かった。


布団をはぎ取られ、少し肌寒さを感じる適温の部屋に身がさらされていた。


「にゃにをふるんれふは!?(何をするんですか!?)」


まともに呂律も回らない、ノロノロとしか動けない寝起きながら必死に抗議する。


「何言ってるか、なーんにも分かりませんよ~。とりあえず体伸ばすところから始めましょうか。」


「いや!!やめて!!!うぎゃあああああ!!!」




「——はい!これで終了です!」


グロッキーになりつつも検診を無事?に終えた。


「それじゃあ、朝ごはん持ってくるので、ちょっと待っててくださいね!」


「飯よりやさしさをください……」


数分後、持ってこられた食事は、


「これ病院食ですか?」


目の前には、煮込みハンバーグ、白米とコンソメスープにサーモンのサラダ。


「うちは、おいしく健康がモットーの病院食なので!」


困惑しながらも、ハンバーグから一口食べてみると——


旨いのだ。


鶏ひき肉に豆腐を混ぜ、ふんわりとした口当たりにしつつ、脂っこくない口当たり。


サーモンのサラダはシンプルでありつつ、さっぱりとしていて食べやすい。


スープはしょうがの風味を感じ、火入れがされた野菜が口の中でほろっと崩れるよう。


「これ、病院で出して良いレベルじゃないっすよ。」


「この美味しさがここの売りですから!」


いつの間にか無我夢中に食し、あっという間に平らげるのだった。


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