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平和大船  作者: 藤本レン


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18/22

持ち寄り

病院までの帰り道、すっかり、外は暗くなり、大通りには明かりが灯されている。


腕時計を確認すると、現在時刻は19時20分である。


この時間帯から営業を始める店も、ここでは珍しくない。


特に、この時間帯になると居酒屋が特に人気である。


仕事終わりであろうスーツ姿のサラリーマンや、家族連れ、よからぬ雰囲気の大人数男女グループなど、多くの人々が行き交う。


やはり、閉鎖的な環境に近い部分があり、そのストレスを解消するためには酒はもってこいなのである。


そのため、瓶ビール一本でも1000円を超える価格ではあるが、根強い人気がある。


「やっぱりこの時間帯だと混むよな。」


さすがに飲食物の持ち帰りは問題になると思い、せめて焼き魚だけでも食べたいと思い、店に並ぶが、一向に人が減らない。


粘ろうとも考えたが、時間的にも、やむを得ず諦めることにした。


「ま、今日はしょうがねぇか…」


そう歩いていると、気になる店を目に付く。


「交流焼きモノ 持ち寄り屋…?」


数か月前から、何か工事らしきものはしていたが、いつの間にか店が出来ていて、驚きである。


並ぶ人も居ないため、折角ならと、のれんをくぐり、店に入る。


するとそこにはかなり広い空間が広がっていた。


一定間隔に置かれた机と炭が入った焼き網、空いている机も少ないほど人が多く、一部のグループにはケースごとビールが提供されているところもある。


「何じゃここは…」


不思議すぎる空間に、定員と思わしきカードを首にかけた人が話しかけてきてくれた。


「お客様、おひとりですか?」


どうやら客だと思われたようだ。


「えっと、興味本位で入ってみたんですけど、ここはどんな店なんですか?」


今はどんな店なのかが知りたいところである。


「てことは、ご新規さんですかね?この店、持ち寄り屋はお客様が持ってきた食材をご自身で調理していただくお店です。」


まさかのセルフスタイルであった。


食材も何も持ってきていない優平は冷ややかな汗をかいていた。


「包丁、まな板、基本的な調味料、鍋や串など、様々な道具も様々借りることが出来ます。また、利用料として、30分で500円、道具を一式を借りた場合とお酒、食材の購入などは、利用料とは別に料金がかかるものがほとんどですのでご注意ください。」


もらったパンフレットを見ながら定員さんの説明を聞いた。


食材を持ってこなくてもこの店で買うこともできるとのことに。安堵しつつ、一つ気になる部分を見つけた。


(3種の店内スタイル?)


パンフレットにはこう書いてある。


1.完全個室型 プライベート確保で、家族連れや宴会などに人気のコース


2.広場での半交流型 仲間内で食べるもよし!他グループと飲んでもよし!


3.広場での完全交流型 誰と飲むかも自由!作るも食べるもフリースタイル!


この広さに加えて、個室部屋まで備わっているとは驚きである。


「ちょっと何か食べていこうかなって思って店入ったんですけど、どのコースがいいですかね。」


おすすめを定員に尋ねると、


「でしたら、3がお勧めですね。食材を自身で持っていってどこかのグループで網を貸してもらうのが一番良いと思います。」


と、勧められたため、せっかくならと魚3匹とネギ一本を買って放浪することにした。


少しすると、何か楽しそうに騒ぐグループを見つけた。


「一体どんだけ飲むんだよ!すげぇなおじいちゃん!」


そこにはケースを椅子にしながら、髪をポニーテールに結ぶ白髪のイケおじと、空になった瓶ビールが何本も置いてあった。


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