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平和大船  作者: 藤本レン


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ここは海上、家は船

海の上に築かれた巨大な船の街。


人々はそこで暮らし、働き、眠り、そしてまた次の日を迎える。


この世界では、それが当たり前だ。


俺もそのうちの一人だった。


「ふわぁ……」


窓から差し込む陽光で目が覚める。

まだ寝ていたくとも、仕事へと赴かなくてはいけない。


簡素な部屋で作業着に着替え、いつもの安い食パンを焼く。


焼き上がりを待つ間、とある部屋に向かう。


家の奥にある和室には、この船の街には似つかわしくない写真が飾られていた。

そこに写っているのは、俺と母の二人だけだ。


「行ってくるね、母さん」


そう言って、金色に輝くバッジを財布に仕舞う。


ジャムを塗った食パンを咥え、家を出る。

スニーカーを履き、


「うっへひはーす(行ってきまーす)」


誰もいない部屋に向かってそう言い、家を出た。

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