暴走
エドワール王子の声明は、決して激情にまかせた叫びではなかった。
理路整然と語られた真実の数々、そして何より、民と未来を案ずるまなざしが、国中に波紋を広げていった。
長らく中立を貫いていた名家の中には、ついに重い沈黙を破り、アーリントン侯爵家に与する意を表する者たちが現れ始める。
それは決して軽々しい判断ではなかった。誰もが、王の怒りがいかなる災厄をもたらすかを知っていたからだ。
それでも、彼らは勇気をもって名を連ねた。正義はどちらにあるのか、その問いに答えるように。
その報せを受けた王は、もはや理を失っていた。
「沈黙もまた反逆である!」
玉座の間に怒号が響き渡る。
王の眼差しは狂気を帯び、臣下たちの顔からは血の気が引いた。
賛同しない貴族たちすら、粛清の対象として槍玉に挙げられ始める。
王は己の正統性を証明するために、剥奪したはずのカミル王子を再び表舞台に担ぎ上げ、彼を「唯一の王太子」として据え直すという強硬手段に出る。
その姿は、かつて民に慕われた王の面影すら忘れさせるほどに、歪んでいた。




