エドワールの声明
その日の朝、王の口上が、魔術によって大広場全体に響き渡った。
「我が忠実なる民よ。
貴族の中に反乱を企て、国を二つに割ろうとする者どもがいる。
奴らは、神聖なる王家の威光を愚弄し、『次なる王』などと名乗る愚か者を担ぎ上げた。
だが我が国には真なる王子が存在する。正統の血を引く我が息子カミルこそ、未来の王にふさわしい。
この度、カミルの名誉は回復され、再び王位継承権を授けられた。
アーリントン侯爵家の罪は重い。
王家を欺き、民を混乱に陥れた罪、ここに断じて赦すまじ。
本日をもって、アーリントン家に対し、宣戦を布告する!」
一部には、王の言葉を信じようとする者もいた。だが、大多数は互いに顔を見合わせ、ただ困惑し、ざわめきの中に立ち尽くしていた。
むしろ「アーリントン家が反乱を?本当に?」と疑念の囁きが飛び交う。「しかもカミル殿下は自分勝手な理由で無実のアーリントンのご令嬢を国外追放して、罰として継承権剥奪されてたって聞いたぜ?」「それなのにいまさら??」
そしてその数分後だろうか。
王都のあちこちに魔術による映像が映し出された。
そこに立つのは、まだ幼さの残るエドワール・フォン・シュタイン王子だった。
だが、その眼差しは鋭く、言葉は静かで重い。
「この国の民よ、私はエドワール・フォン・シュタイン。
王家の血を引きし者として、この言葉を捧げます。
私はまだ若く、至らぬところも多い。
だが、今の王宮に渦巻く傲慢と虚偽を、黙って見過ごすわけにはいきません。
私は見ました。
無実の者が罪を着せられ、
真にこの国を想う者たちが冷遇されていく現実を。
アーリントン侯爵家は、国を護ろうとしています。
彼らは私に、国の未来を託そうとしてくれました。
ならば私は応えます。
この命、この想いをもって、この国の歪みを正す。
必要なものは王の座ではありません。
皆が恐怖から自由になり、誇りを持って生きられる国にしたいのです。
どうか、真実を見極めてください。
この国にとっての『正しさ』を選んでください。」
映像が終わるころには、広場のあちこちで拍手が起こっていた。
幼き王子の言葉は、人々の心に静かに火を灯した。




