真夜中の通信
深夜の書斎。クラウディアの手元に、侯爵家からの通信魔導具が光を放つ。画面に現れたのは、父・レオンハルト侯爵の厳かな顔。続いて母・セリーヌ、次兄・ルーファス、長兄・シリルの姿も映り込む。
「クラウディア、話がある。我々は今、重大な疑惑の渦中にいる」
レオンハルトの声は静かだが、重く響いた。
「王家から我々アーリントン侯爵家に、クーデターの疑いがかけられているの」
セリーヌが続ける。
「しかし、これは我々への侮辱だ。真実は全く違う。レオンハルトが長年、王家の盾として守り続けてきたことは紛れもない事実だ」
ルーファスが、端末を手にしたまま冷静に説明した。
「だが王家は恐れている。アーリントンの影響力の拡大を警戒し、我々を孤立させ、潰そうとしているのだ」
シリルは硬い表情のまま言った。
画面の向こうからの重い空気に、フィンはそっと席を立とうとした。
「これは、僕らが立ち去るべき話だろうか…」と呟く。
だがレオンハルトが力強く言った。
「待て、フィン。セレナ、アレク、お前たちも聞いておけ。これは家族の問題であり、我々の戦いだ」
セリーヌが微笑みながら付け加える。
「あなたたちも、我々と共に歩む同志だと信じているからこそ、話しているのよ」
フィンは少し戸惑いながらも一礼し、席に戻った。
「今、我々は情報を集め、証拠を整え、真実を明らかにしようとしている」
ルーファスが言葉を紡ぐ。
「エミリア・ロッシュの兄、ヘルベルトが秘密結社“十字の手”の幹部であること、
そして王家内部にも腐敗と策謀が渦巻いていることも判明した」
「我らの誇りは、王家への忠誠にある。だが、もし王家が我らを敵とみなすなら、その時は…」
レオンハルトの瞳が鋭く光った。
通信の場が静まり、誰もが次の言葉を待っている中で、
レオンハルトが優しい声で問いかける。
「クラウディア。……お前は、どうしたい?」
「私は……」




