父へ報告
ギルド任務からの帰途、思いがけず出会ったレイラの姿が、クラウディアの脳裏に焼きついて離れなかった。
任務の場所がアーリントン侯爵家と近かったこともあり、クラウディアはフィンと共に父の執務室を訪れた。
報告を聞いたレオンハルト侯爵は、無言のまま深く眉をひそめる。
「……レイラ=ヴァレンタイン。あの消えた伯爵家の娘が生きていた、と?」
クラウディアは頷く。
「はい。彼女は“公式には死んだことになっている”と言っていました。今は秘密結社に潜り込んでいるそうです。
目的は、両親を死に追いやった男――ヘルベルト・ロッシュへの復讐だと」
その名を聞いた瞬間、レオンハルトの目が鋭く細められる。
だが、彼は感情を抑えた声で続けさせた。
「それから……彼女は言いました。『私を利用しろ』と」
しばしの沈黙が流れる。
レオンハルトは椅子から立ち上がり、窓の外に目をやったあと、低く言った。
「……わかった。私の方で“影”をつける。
だが、クラウディア――必要以上に関わるな。お前が目をつけられては困る」
「フィンも、くれぐれもよろしく頼むぞ。」
その声には、父としての厳しさと、深い懸念が滲んでいた。
クラウディアは黙って頷いた。
レイラの真意がどこにあるのか、まだ測りかねていた。




