黒幕がいる?
レオンハルトがクラウディアを前にして静かに言う。
「……クラウディア、お前に言っておこうと思う。お前の婚約が破棄された背景には、あのバカ王子……いや、カミル王子をそそのかした者がいる可能性がある」
クラウディアは眉をひそめる。
侯爵は真剣な眼差しで続ける。
「そして、それは――闇の魔術を操る秘密結社の者かもしれん」
言葉の重みを感じて、クラウディアの手がわずかに震える。
侯爵はゆっくりと、言葉を選ぶように告げる。
「我が家は、かの婚約破棄騒動以来、王家の周辺にも影をつけて動向を探っていた。
シリルも、率先して調査に加わってくれている。シリルは……妹の名誉を取り戻すためなら、国を相手取る覚悟だったようだ」
横にいたルーファスが口を挟む。
「俺は、エミリア・ロッシュ伯爵令嬢について探っていた。例の“新しい婚約者”だ。だが、彼女自身には特に黒い噂もない。ただ……思い込みが強くて、自分の中の『理想の物語』を現実にしようとするところがあるようだな」
クラウディアは小さく息を吐く。
自分の追放劇が、ただの恋愛沙汰や政略の失敗ではない可能性があると知って、胸の奥がざわつく。




