表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放令嬢は闇魔法で無双する。  作者: ちょこだいふく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/70

覚醒

それは禍々しくも巨大な影だった。

 黒い霧の中心から現れたそれは、まるで狼と蛇を掛け合わせたような異形の召喚獣だった。

 鋭い牙、複数の尾、禍々しい瘴気。クラウディアは瞬時に直感する……これは…影魔術師が“捧げ物”によって呼び出したものだ。


 「くっ……!フィン、下がって!」


 クラウディアの声が響くと同時に、フィンは一歩前に出る。


 「お嬢様こそ退いてください!」


 召喚獣が咆哮を上げた瞬間、二人の間の空気が裂ける。目にも留まらぬ速さで飛びかかる影。その巨大な身体にはフィンの剣もクラウディアの魔法も通じない。攻撃は浅く、再生は早い。


 「これが、捧げられた命の力…いったいどれだけの命を…!」


 圧倒的だった。力も、速さも、知性も。フィンの盾が砕かれ、クラウディアの防壁が焼き切られる。何度目かの攻撃で、フィンが吹き飛ばされた。


 「フィン!」


 クラウディアの膝が地につく。魔力も残り少ない。けれど、彼女は目を逸らさなかった。

 その時だった。




ーーー クラウディアの背中が、淡く光を帯びる。



 温かく、けれど鋭く。眩しさはないが、確かに光は脈動していた。

 時間が緩やかになる。敵の動きも、風の流れも、魔力の波すらも。

 頭が冴えわたる。怖いほどに冷静だった。







 「……なるほど。そういうことね」





 クラウディアは立ち上がった。

 召喚獣が牙を剥いて飛びかかる。だが彼女は、一歩も動かず、ただ手を掲げた。


 「転位・封魔 ーーー 影よ、主の元へ還れ」


 魔法陣が地に浮かび上がり、光の刃が幾重にも放たれる。クラウディアの足元からほとばしる光は、影の中心を貫いた。


 召喚獣が悲鳴を上げ、次の瞬間、爆ぜるように霧散した。


 黒いもやが晴れていく。

 長らく閉ざされていた空気が、ふと柔らかくなる。


 「……!」


 クラウディアが目を凝らすと、霧の向こうに人影が見えた。



ーーーー 失踪していた人々だ。



 「大丈夫ですか…!!」


 フィンがよろめきながらも駆け寄り、彼らの無事を確認する。クラウディアはただ空を見上げた。




 魔力の余韻が、まだ体内を巡っていた。


 これはきっと、自分の中にある“何か”が目覚めた証……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ