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追放令嬢は闇魔法で無双する。  作者: ちょこだいふく


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29/70

帰り道。

朝靄の立ちこめる城門前。

サマール王国の兵たちと数人の侍従が整列し、旅立つ4人を見送っていた。


「ご武運を。クラウディア様、皆様の旅路が光に満ちたものでありますように」

王都からの出発ということもあり、正式な見送りがなされたが、どこかあたたかみのある雰囲気だった。


「また会おうね!!絶対だよ!」

見送りに来た幼い侍女が手を振りながら叫び、クラウディアたちは静かに微笑んで小さく手を振り返す。


道に出てからしばらくは、サマールの街並みが名残惜しく後方に続いていたが、やがて緩やかな丘を越える頃にはすっかり見えなくなっていた。


「……じゃあ、ヴァル王国に戻るわけですけど」

最初に口を開いたのはアレクだった。どこか楽しげな声で、背中の剣が妙に堂々と揺れている。


「そうね。王都までは三日ほど。無理のないペースで進みましょう」

クラウディアは振り返りもせずに言った。


「……そういえばクラウディアさん、僕、最近やたら剣のキレが良くなってる気がするんですよ」


「ふふ、それは良いことだわ」

「具体的にはどれくらい?」とフィンが興味ありげに振り向く。


「いや、ちょっと信じてもらえないかもですけど……」

アレクは頬をかきながら、どこか照れくさそうに笑った。


「初めてクラウディアさんたちに会った時に、“とにかく実戦経験を積め”って言われたじゃないですか?あのあと本当に、フィールドで雑魚敵ばっかり狙ってひたすら狩ってたんですよ」


「うん、正直あの頃のアレクは……」

セレナが思い出し笑いしながら、口元を覆う。


「最初は一撃で倒せなかったのに、いまや三体同時に相手しても余裕。動きが読めるっていうか……」

アレクはぐるぐると腕を回してみせる。


「へえ、それはすごい成長じゃない」

クラウディアが少し意外そうに目を細める。


「セレナもですよ?」

アレクがにやっと笑って、隣を歩く少女に目を向けた。


「……私も、ね。あのときの毒で、もう誰かに助けられるばかりは嫌だって思ったの」

セレナの声には、柔らかさのなかに確かな決意が宿っていた。


「毎日アレクと模擬戦して、魔力制御もやり直して……おかげで今は、回復魔法も中級まで安定して使えるようになったの」


「ふむ。これはもう、君たちを雑魚だなんて誰も呼べないな」

フィンがからかうように言いながらも、どこか満足げだった。


「ふたりとも、きちんと自分の力で変わったのね」

クラウディアはふと立ち止まり、軽く頷いた。


「誇っていいわ。その努力も、得た力も。…きっと、これから出会う誰かを救える」


「……はい!」

アレクとセレナは声をそろえて返事をした。



「ところで…どこで学んだんですか、あんな戦い方……」

アレクが思わず声を漏らした。

セレナもこくこくと頷いている。


「ふふ、実はね、あれ……護身術なのよ」

クラウディアが微笑んで答えると、二人は目を丸くした。


「護身術のレベルじゃないです! 普通の盗賊を一瞬で無力化してましたよ!?」

「なんていうか……達人の域ってやつだよね」


クラウディアは少し困ったように肩を竦めた。

「実践訓練ばかりだったの。ほら、兄たちがね。次から次へと雑魚を連れてくるものだから……気がつけば反射で動くようになってたわ」


アレクとセレナは顔を見合わせて、戦慄と尊敬が混じったような表情を浮かべた。


その時、フィンがちらりとアレクを見て言った。

「……良ければ相手、しましょうか?」


アレクの顔がぱっと輝く。

「ぜひお願いします!」

「私もやりたい!」と、セレナもすかさず手を上げた。


「順番ね」

クラウディアが楽しげに言いながら、くすっと笑う。


そんな穏やかな笑い声と共に、温かな空気に包まれながら馬車は再びのんびりと進んでいく。



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