サマール王国からの書簡
侯爵邸の客間。広々とした空間に、クラウディア、フィン、アレク、セレナが揃っていた。そこへセリーヌ夫人とともに現れたレオンハルト侯爵が、ゆっくりと彼らの前に立つ。
「先ほど、サマール王国より正式な招待状が届いた。国王陛下から、感謝と歓待の宴を開きたいとの申し出だ」
思わず目を丸くするアレクとセレナ。
「え、わたしたちもですか……?」
「もちろんだ。君たちは、我が娘の命を救ってくれた」
レオンハルトはアレクとセレナをまっすぐ見つめた。その言葉に、セレナは戸惑ったように首を振る。
「でも、クラウディア様は……そんな、危ない目には……」
「ふむ。では問おう、君たちと出会う前、クラウディアは人と目を合わせて笑っていたか?」
言葉に詰まるセレナとアレク。隣でクラウディアは、はっと息をのむ。
「この子はずっと、自分を守るために心を閉ざしてきた。君たちはそれを、力ずくでも言葉でもなく、ごく自然に変えてくれた。……それは、どんな魔法にも勝る奇跡だ。まさに命を救ってくれたと言っても良いと思っておる。」
セリーヌ夫人が静かに微笑み、言葉を継ぐ。
「ですから、これは私たちからの心からの礼です。どうか受け取ってくださいね。宴には格式があります。あなた方が堂々と胸を張って王宮を歩けるよう、お仕度を整えるお手伝いをさせてください」
扉が開き、数人の仕立て職人と侍女たちが控えていた。布地と宝飾の見本が優雅に差し出される。
「ひっ…これは……高そう……」
アレクが小さくつぶやくと、フィンが珍しく笑って言った。
「サマールの王宮に招かれるのに、ぼろ布のまま行くつもりか?さすがにクラウディア様が泣くぞ」
「フィンったら…泣きません。けれど……私の大切な友人ですから、堂々としていてほしいとは思います」
クラウディアの言葉に、セレナは目を丸くし、アレクは真っ赤になって頷いた。




