サマール国のギルドへ
サマール王国の街並みは、ヴァル王国よりも乾いた空気に包まれ、建物の素材や服装などにも砂漠文化の影響が色濃く出ていた。クラウディア、フィン、アレク、セレナの4人は、旅の疲れをにじませながらも凛とした足取りで、ギルドへと向かう。
ギルドの外には装飾的なタイル模様があしらわれ、内部は涼を取る工夫が凝らされた造り。ヴァル王国からの紹介状を受付に差し出すと、応対した中年の女性職員が眉を上げた。
「…ヴァル王国から?このタイミングで来ていただけるとは……助かります」
クラウディアは軽く会釈しながら答える。
「調査依頼の件について、可能な限り協力します。被害の発生した地域の情報と、これまでの経緯を教えていただけますか?」
応接室に案内され、ほどなくして責任者らしき男性が現れる。彼はギルドの副団長、ラフィークと名乗った。
「近隣の村々で小規模な魔獣被害が相次いでいます。だが奇妙なことに、痕跡が曖昧で……“何か”が村を通り抜けただけ、というような印象もある。生存者の証言もまちまちで、まるで幻でも見たような…」
「毒や呪いの影響を受けたような報告は?」とクラウディアが尋ねると、ラフィークは少し言いよどんでから答えた。
「……一部には、そのような症状も確認されています。特に“影の瘴気”とでも呼ぶべきものに触れた者は、数日後に意識を失い、高熱を発します。だが魔術師たちでも原因を断定できていない」
クラウディアの眉がわずかに動く。「闇属性に関係している可能性があるかもしれないわね……」
アレクとセレナも顔を見合わせる。過去に出会った魔獣の一部にも、似たような“気配”があったことを思い出したのだ。
「調査のために、私たちを被害のあった村へ案内していただけますか?」
「もちろん。ただし……最近その村へ向かった冒険者の一団が、まだ戻ってきていない」
「わかりました。準備が整い次第、現地へ向かいます」




