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追放令嬢は闇魔法で無双する。  作者: ちょこだいふく


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遺跡に出発!

朝の木漏れ日亭は、どこか凛とした静けさに包まれていた。夜露に濡れた葉の匂い、遠くで囀る鳥の声。そんな澄んだ空気の中で、クラウディアたちは宿の玄関先に集まっていた。


「朝食を持たせておいたわよ。遺跡までは軽く歩いて半日ってところかしら」と、女将が籠を手渡してくれる。


「ありがとうございます」

クラウディアは深く頭を下げる。女将は笑顔で首を振った。


「気をつけてね。あそこ、最近ちょっと不穏な噂もあるから」


「不穏……?」

セレナが眉を寄せると、女将は「ま、森の霧が濃くなってるとかその程度だけどね」と軽く流した。


支度を終えた4人は、小道へと歩き出した。クラウディアの少し前を歩くアレクが、空を見上げてつぶやく。


「今日の空、やけに白っぽいね。朝なのに、なんか昼間みたいな光」


「魔力の濃度が上がってるのかもな」

フィンが鋭い目をして周囲を見渡している。


クラウディアは歩きながら、肩甲骨の奥にかすかな違和感を感じていた。痛みではない。けれど、そこだけ体温が少し高いような、内側からじんわりと熱を帯びるような感覚…それは昨日までになかったものだ。


(……気のせい?)


彼女はそっと肩をまわしてみるが、熱は引かない。けれど、それ以上追及することもなく、再び前を向いた。


ーーーー


森を抜け、陽が高くなる頃、遺跡の入り口が姿を現した。


苔むした石のアーチ、ひび割れた階段、そして風に舞う古い封印の札。それはまるで、長い時を経て目覚めを待つ眠れる獣のような佇まいだった。


「……ここが、沈黙の遺跡内の“星の間”?」


「遺跡名は“アステリオン”。でも、王立図書室にも詳しい情報は載ってなかった」

フィンが地図を広げながら言う。


中へと足を踏み入れると、そこは外の光を遮る薄暗がり。空気はひんやりしていて、何かがひそやかに動いているような気配がある。廊下の奥には、丸い台座のようなものがあり、その周囲をぐるりと囲むように古代文字が刻まれていた。


「これ……私の魔法に反応するかも」

クラウディアは、そっとその台座に手をかざした。


ーーぶわっ…と。


黒い“もや”のようなものが、手のひらの下から立ちのぼった。まるで煙のように揺らめきながら、彼女の指先を撫で、手首を伝い、腕の内側を這っていく。


「クラウディア様、離れてください!」

フィンが叫ぶが、クラウディアはなぜか動けなかった。


黒いもやは、まるで彼女の体を確かめるようにまとわりつき…そして。


(……熱い?)


肩甲骨の奥が、唐突に熱を持った。いや、それは“内側”からくる熱。まるで何かが、そこに目を覚まそうとしているかのような……


「クラウディア!」

セレナが駆け寄ってくる。


「大丈夫……今のところは」


もやはすっと消えた。まるで、何かの確認が済んだかのように。


フィンが台座を調べていた。


「これは……古代文字だ。“適格者、封印を継げし者にして翼を持つ者”……?」


クラウディアはその言葉に、肩の奥の熱を思い出す。そして小さく、胸の奥で予感のように囁いた。


(……何か目覚めた?)


続く沈黙のなか、遺跡の奥から、低く唸るような風の音が聞こえてきた。


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