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わたしの年齢が倍になったら

作者:調彩雨
その街にはときおり、初恋泥棒がおとずれる。

美しい魔女イヴは、街におりるたび、幼い子供の初恋を奪う魔性の女。
いたいけな求婚へ、彼女が返す言葉はいつも同じ。

「わたしの年齢があなたの年齢の倍になったら、そして、そのときまだあなたが同じ気持ちであったなら、あなたとの結婚を考えましょう」

幼子が少年となり、青年となるまでに、彼らは多くのことを学び、経験する。そのあいだに、雛鳥のような恋心など、薄れて忘れてしまう。
何度も結ばれる約束は、果たされることなく、すべて途切れてしまう、はずだった。

「約束を、果たして貰いに来ました」

理を曲げてまで、初恋を抱き続けた、ひとりの青年が、イヴの前に現れるまでは。

ひとりの初恋泥棒と、彼女に初恋を奪われた青年たちのお話。
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