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海へ向かっての捜索

 タカシは森の調査後、次の問題について検討していた。

それは、塩を探す事だった。街の東側を流れる河川を下って行けば海に辿り着く可能性が高くタカシは海を探す為の捜査を行う必要性を強く感じていた。

 タカシは森の調査後、新たなる調査地点について考えていた。

それは、街の東側を流れている河川を下り、海の発見と塩、魚介類など食料源の確保などだった。


 森の調査を行い動植物や木材、鉄鉱石、銅、石炭、粘土など多くの物資の発見、農地の開拓も進んでいた。また食料やエネルギー、水の確保もいくらか整い、次の課題に直面していた。


 街の東側を流れる河川は南東方面に向かって流れていた。河川の幅は30メートル程度あり、この地点は中流規域から下流域の可能性が高かった。タカシは初めの調査では徒歩で河川沿いを沿って歩き調査を始めた。半日ほど進み、そこからドローンを飛ばし10キロ以上先の景色を確認したが、河川はまだ遥か遠くに続いており海が見える地点は、まだかなり先の様だった。


 工場の仲間と共に河川沿いの草刈りを少しずつ行い、ルート作りも行っていた。


 ***タカシの提案***


タカシは市役所内にある調査課本部に行き海の捜査を申し出た。


 調査課の責任者、後藤が「確かに君の意見は適切だ。だが、今の我々は街の改修整備、新しい発電所の建設、食料の確保、森の調査、資源確保など山積だ」と、答える。


 隣で聞いていた調査隊のリーダー太田が「確かに、そうだが塩の確保も重要課題です。調査に私は賛成します」と、タカシの意見に同調した。


 その後、市の議会に挙げられ早急に海の調査と塩の確保が重要課題の1つと認められた。1年以内に、塩の枯渇が生じる事が懸念されており、重要資源の1つとて挙げられていた。塩確保の為、調査を行う事が認められた。


 だが人員不足もあり、今の時点では、海の捜索に割ける人員は20名だった。

調査隊の計画では河川に沿って徒歩で調査を行いルートの確立を目指す。その後、船で物資を運び込み拠点作りと周辺の整備を行って行く事が決まった。


 これを繰り返して行き、海を目指す計画だった。


 また街からもボランティアを募り調査隊が発見したルートの道作りが行われる事が決まった。人員は300名集まり、タカシが事前に調査したエリア内の道作りが始められた。


 海の捜索を行う為の人選、装備品、物資、食料の準備が整い、2週間後にタカシたちは出発した。

捜査隊の隊長は、太田さんが選ばれ、警察官の田村さん、金井さん、医者の戸田さん、タカシ、昭彦、徹の6名で進められる事になった。残りの隊員は、交代要員、物資運搬要因、バックアップ要因として街で待機していた。


 出発後、事前に調査を行っていたルート上の途中までは、草が刈られ道もいくらか整っており、5キロ程、車に乗って送られた。運転手の小川が「車を降りる時、みんな気を付けて。成果を期待しています」と、声を掛けた。太田隊長が「分かっている。ありがとう」と答え、全員、未開の地へと足を踏み入れて行った。


 草をかき分けながら、調査隊は前に進んで行った。

後方から聞こえて来る草刈り機の音や重機の音も次第に遠のいて行った。


 進んで行くと、鳥の鳴き声や蝉の様な虫の声、動物の遠吠えなどが聞こえる。また、風の吹き草や木がゆれる音が聞こえた。


 「うわっ」突然、徹が声をあげ、地面に倒れる。


 タカシが驚いて「徹!大丈夫か?」と、声をあげた。


「イテテテ・・・何かの根っこが足に引っかかったみたいだ」と答える。


 医者の戸田が徹の様態を確かめる「特別、足を挫いた所もない様ね。大丈夫」と伝えた。


 昭彦がほっとした表情で「徹、驚かすなよ」と話す。


 太田隊長が「慎重に進んで行こう」と安全を確認し再び出発した。


 しばらく進んで行くと、川が蛇行しているようだった。


 太田隊長が「このまま川辺を沿って進むか?」と、迷っているとタカシは、コンパスで方位を確認しドローンを使って上空から現在地点を確認する。「河川へのルートでは、このまま、まっすぐ南東に進めば大丈夫です。多少河は蛇行していますが、このまま南東の方位に直進して進めば、また河川の河原沿いに行き着きます」と伝える。


 太田隊長が頷き「よし、このまま、まっすぐ進んで行こう」と出発した。


 タカシたちは、ゆっくりだが確実に河川の下流を目指して進んで行った。

少し丘になっている斜面を登って進んで行くと河川が見えた。


 全員、進む方向が間違ってない事に安心した。


 さらに2時間ほど進み、太田隊長が「一旦、ここで休憩しよう。今、街から十数キロ程度進んだ辺りだ。この辺りに1つめの拠点を設営しよう」と伝えた。丘の頂上付近からは河川の河原が確認する事ができた。岸辺には多くの石を確認する事ができた。船着き場としても適切な地点のようだった。また、街のある方位を眺めると街の建物が遠くに見えた。


 調査隊は本部に無線で連絡を行い物資を積んだ船が出発する。


 船が到着するまでの間、タカシたちは、拠点となる地点の整備を簡単に進める。また、河原まで降り、狼煙をあげる準備も整えていた。丘から河川までの距離は200メートル程あり、丘が目印になり、迷わず到着する事が望めた。


 船は6メートル程度の小船で3艘、それぞれ物資と人員が分乗し、拠点に向かって出発した。動力は付いているが燃料節約の為、長距離の移動は控えられていた。


 海の捜査活動は着実に拠点を設営しながら物資を集積しながら進む計画が立てられていた。


  街から1つ目の拠点まで道が開通する事で移動時間が大幅に短縮される事が見込まれていた。

 海が発見され、塩など物資を運ぶ為には、拠点作りと道作りも重要なプロジェクトだった。


  到着予定前の1時間前には、狼煙を上げ無線連絡を行い到着を待っていた。


 物資を積んだ船は、連絡した2時間後には到着し

ゆっくりと河岸に近づき岸辺の石を転がし乾いた音が響いた。

「よし、縄をしっかり結べ!」太田隊長の声に、隊員たちは手際よく船を固定する。


 船の上では、荷を降ろす準備が始まっていた。木箱を開けると、中には食料や工具類など物資が詰まっていた。

「おーい、これを運ぶのを忘れているぞ!」徹が小さな箱を持ち上げながら叫ぶ。

「サンキュー、徹」昭彦が額の汗を拭いながら答えた。

「よし、これで、第一段階は成功だ」と、タカシは呟きながら荷物を運ぶ。


 ***拠点の設営***


 拠点は船に乗ってきた設営班がさっそく作業を始め、周囲に策を張り、テントが組み立られて行く。

また、簡単な見張り台の設置も行われ、ソーラー式の照明が取り付けられた。


 太田が拠点の設営状況を眺めながら

「どちらにしても、このエリアは将来的に開拓されて行く事になるだろうな」と将来の事を話す。


 タカシは頷き「確かに街が突然、移転してしまった事で住民たちの住まいが足りなくなっていますからね。それと、農作物の生産も拡大し、街を広げて行かないと、、、、」と答える。


 昭彦が「でも、今の資源では備蓄にも限りがあるし、建てられる家の数も限られそうだね」と話す。


 その時、周囲を見張っていた田村と金井が周囲の異変に気付き注意を促す。

田村が「隊長、狼の遠吠えが近づいています。今夜は周囲の警戒を怠らないようにしましょう」

金井が「それと、焚火の火を絶やさないように」と、付け加えた。


***狼の襲撃***


 日が暮れ夜になると、狼たちの群れが拠点の周囲を囲んだ。


「やばい……囲まれた!」見張り役の田村が狼の数を数えながら、低い声で呟いた。


「うわっ、マジかよ……囲まれてるぞ!」徹が思わず後ずさる。


「十匹以上……いや、もっといるかもしれない」田村が冷静に分析する。


「落ち着け、まだ攻撃はしてこない……」昭彦が低く呟くが、その声には緊張が滲んでいた。


「タカシ、照明弾を使え!」太田隊長の鋭い声が響く。


「わ、わかりました!」タカシは急いで照明弾を取り出すが、手が震え、うまく装填できない。


「おい、急げ! あと数秒で突っ込んでくるぞ!」金井が焦ったように叫ぶ。


「くそっ、落ち着け……」タカシは息を整え、ついに引き金を引いた。


「ウォォォォ!」

狼たちは驚き、尻尾を巻いて逃げていった。


「助かった……」徹が安堵の息を漏らした。


 太田隊長が「タカシくん、よくやった」と褒め、その後、

見張りと焚火の火を絶やさなかった事もあり、再び狼が訪れる事は無かった。


 再び調査隊は、海を目指し、川下へとを出発していった。


 

 ご購読、ありがとうございました。タカシたちは、さらに奥へと捜査が続いて行きます。

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