新たなる街の方針
市役所の会議に参加し
今後の方針など決まり、タカシたちは工場に戻り、発表する事になっていた。
異世界に移転した街は、これから、どうなって行くのか、まだ、誰も分からなかった。
***会議を終えて***
「はぁ…疲れたな」市役所での長い会議を終え、タカシは昭雄、徹とともに工場へ戻る道を歩いていた。
「でも、色々と分かった事もあります」徹が空を見上げながら話し続ける。
「工場の設備を使って野菜を育てるとか、新しい仕事を作るとか…面白そうじゃないですか?」
「ああ」昭雄がそっけなく答える。
「他の工場も、今までの仕事をやめて、必要なものを作ることになりそうだな」
タカシは今日の会議で決まったことを思い返していた。
工場の一部を農場に改装し、工具や日用品を作る仕事に切り替える。
そして、住民たちが役割を分担し、みんなで生き延びる方法を模索する。
「大変なことばかりだけど……やるしかないな」タカシはそう呟いた。
***工場での報告会***
工場に戻ると、すでに多くの従業員が集まっていた。
タカシたちは、市役所で決まったことを上司や仲間たちに報告することになった。
「えっ、工場が農場になるんですか?」
「工具を作る仕事になるの?」
「私の仕事はどうなるのでしょうか……」
次々と不安の声が上がる。
「今までと同じ仕事はできなくなります」
工場長の井上が静かに話す。
「でも、この街で生きていくために、私たちにできることをしていくしかない」
従業員たちは、不安そうな表情を浮かべながらも静かに話を聞いていた。
やがて、一人が手を上げて言った。
「……やるしかないですよね」
「俺も協力します」
従業員たちは覚悟を決めた表情に変化して行った。
***失敗と試行錯誤***
計画は順調に進むかと思われたが、現実はそう甘くなかった。
最初の問題は、水耕栽培のシステムがうまく作動しなかったこと だった。
「ポンプの流量が足りないな……」
タカシが額の汗を拭いながら、配管を調整する。
「栄養液の濃度が安定しない」
農業経験のある住民が試行錯誤を繰り返した。
さらに、工場の溶接機を使って鎌を作ろうとしたが——
「この合金じゃ硬すぎる。加工が大変だ」
「工具用の鋼材を持ってる会社があったはずだ。そこから持ってこよう」
こうして、街の生存基盤を整えるために、多くの失敗と試行錯誤 を重ねていった。
*** 新たな挑戦***
数日後——
タカシは昭雄と徹と話し合っていた。
「調査隊?」昭雄が聞き返す。
「ああ」タカシが頷く。
「この街の外には、どんな場所があるのか、ちゃんと調べる必要がある」
「危険そうだけど、誰かがやらなきゃいけないからな」
「僕も行きます!」徹が力強く言う。
「新しい世界を見てみたいです!」
昭雄も少し考えた後、ため息をついて言った。
「しょうがないな……俺も行くよ」
こうして、タカシたちは 探索隊に志願することを決めた。
タカシたちは、工場の仕事が減った事から別の仕事に着く事を考えていた。
その中の1つとして、調査隊への志願であった。
調査隊は、警察や消防団など中心に立ち上げられ、男女を問わず社会人、
大学生や高校生など、体力に自信のある者や調査活動に役立つ知識のある人材を募集していた。
初めの活動は、街の周囲の調査、警護や防衛拠点作り、農地拡大へ向けた調査、水源調査、資源などの調査活動が主な仕事だった。
*** 調査隊のトレーニング***
街にある運動公園では、調査隊のトレーニングが行われていた。
「狩猟経験のある人、手を挙げてくれ」
警察官が集めた住民の中から、猟師経験のある者が前に出た。
新たに工場で作られた弓矢やボウガンを手に持ち、
的に向けて放つトレーニングが行われていた。
また刃物、槍など武器も用意され、獣に対応する為の対応や
サバイバル訓練も行われた。
さらに防具なども作られ、調査隊の装備の準備も進められていた。
「森にはどんな生き物がいるか分からない。用心して調査をする事」
***周囲の調査***
街の外への調査もグループに分かれ、各方面に向けて始められた。
街の外にある草原地帯は、農地としての活用が出来そうな事や
近くの河川は30メートル以上の幅があり、魚が生息している事。食料として食べられる事。
飲料水や農業水として使用な事など色々な発見が報告されていった。
また街外れには、見張り所の建設や
堀や柵を作る作業も行われ始め外敵から守る為の準備も進められて行った。
タカシたちも工場の仕事が無い時は、ボランティアとして参加した。
***街の変化***
それから 1ヶ月——
街は少しずつ変わっていった。
工場の一部は 野菜工場 に改装され、
クリーンルームだった場所ではLED照明が設置され レタスやトマト が育てられる様になり、
他の工場でも必要な工具や部品の生産などが始まっていた。
新たに街のあちこちに、ソーラーパネルが設置され電力確保の増強が行われてもいた。
また河川などを利用した水力発電、山岳地の斜面には風力発電が行われ始めていた。
他ではガスや灯油など近い将来、枯渇対応する為、
山の木を伐採し炭にするなど燃料としての活用方法、それに適した調理器具、風呂窯などの生産も新たに工場で始められていた。
市役所では新しいルールを作りも進められ配給制や 物々交換の仕組みなど整えられていった。
「この街も段々と変わっている....」
寮の窓から外を見下ろしながら、タカシは呟いた。
駐車場だった場所は 菜園 になり、
従業員たちが 野菜を育てている姿 が見える。
「最初は不安でいっぱいだったけど……」
隣で眺めていた同僚の昭雄がつぶやく。
「みんな、できることを見つけて頑張ってるんだ」後輩の徹が頷いた。
空には、いつものように 二つの月 が昇り始めていた。
不思議な世界での生活は続いていたが、人々は 新しい日常 を作り始めていた。
***森の調査へ向けて***
「明日は森の調査か……」
タカシは夜空を見上げながら呟いた。
「じゃあ、今日は早めに寝るか」
「あ、先輩!明日の調査では新しい場所に行くんですよね?」
徹が期待に満ちた声で言う。
「ああ。でも、注意が必要だ。準備を忘れないようにな」
昭雄も腕を組みながら、ふっと笑った。
「未知の世界の冒険か……悪くないな」
三人は夕暮れの街を眺めながら、明日への期待を胸に秘めていた。
この世界には まだ見ぬ発見が、きっと待っている——。
ご購読、ありがとうございました。
街の一部が異世界に移転し、大勢の住民が異世界での生活を余技されなくなっていきます。
現代生活の維持に必要なエネルギー、資源、食料、外部からの流通、情報も次第に滞って行きます。
その事態に対応する為にタカシたち住民が、力を合わせて行きます。