異文明との出会い 一部完結
謎の獣に乗った異民族との出会いにより、タカシたちは、どのようになっていくのか?街の危機につながるのか?それは、謎の異民族との関わり方次第で大きく変化する可能性が持たされていた。
太田隊長は慎重にライフルを地面に置き前に出て手を広げながら異民族に語りかける。
緊張した空気が流れる中、彼の声は静かに強く響いた。
「我々は、この土地に突然現れた者だ。だが、生きるために森の資源が必要だ」
と手振りと合わせて説明する。
異民族の戦士は鋭い目で太田隊長を見据え静かに答えた。
その声には不思議な響きが、言葉の意味は明確にあった。
「森のものは皆のもの。でも、お前たちが取りすぎる」と手振りとあわせて答える。
太田隊長は
「我々は多くの人を養わなければいけない。だから、必要なのだ。だから交渉がしたい」と、再び手振りと合わせて説明する。
しばらくの間、会話が続き、ある程度、理解できたようだった。
タカシたちは、5メートルほど離れた場所で太田隊長を見守っていた。
「異文明の人間。こいつは、只者じゃない」と呟いた。
太田隊長は戦士を山小屋に招き入れる事にし
タカシと明日香も山小屋に入った後、
「俺の名前は太田。この二人は、タカシと明日香。仲間だ」と、話す。
戦士は「カルン」と名乗った。
織田隊長は、明日香に紅茶とクッキーを用意させ、カルンに差し出す。
太田隊長がはじめにクッキーを食べ、紅茶を飲む。
カルンも太田が食べたのを確認した後、クッキーを食べる。
「おいしい....」
初めて食べたクッキーの味にカルンの表場が緩んだ。
その後、太田隊長は、これまで起きた街の出来事を説明した。
カルンも初めは、信じられない様子だったが、
「街に、連れて行け。それで確かめる」と、答えた。
夜が明け、明るくなると、太田隊長たちは、
カルンと一緒に朝食を食べ、街に案内することになった。
カルンの乗っていた獣は、カルゴと呼ばれており、サルとゴリラを合わせたような姿をしていたが、5メートル程ある大きな獣だった。太田たちは、カルンと共に森の外へと向かった。森の外には街が見えておりカルンも初めてみる街の景色に驚いている様子だった。
森の出口前で、カルンは、サルゴを待たせ、
ここから先はカルンと調査隊が車に乗り、街の調査本部に向かって行った。
次前に本部に報告していた調査隊だったが、
異民族との遭遇は、街の市議会でも衝撃的な出来事であった。
タカシたち調査隊は、この接触により大きな転換点になることを直感的に感じていた。
**都市と森の住人***
街の中に入ったカルンは、初めて見する全てのものに驚きを隠せない様子だった。
舗装された道路、鉄とガラスでできた建物、機械が唸る工場。街中を行きかう人々の姿。
カルンの目は興味深く強く光っているように見えた。
時折、指をさして太田に語り合う姿は、まるで子供のような純粋な探究心を感じさせた。
調査隊の本部につき、車から降りた太田隊長とカルン、タカシたち調査隊は市長との面会し説明を始めた。 会議室の重厚な雰囲気の中で、カルンは異民族の威厳を持って着席した。
市長の言葉を、太田隊長が身振りを行って説明する「我々の街は、突然この地へ転移してしまった。元居た場所には戻れない。だから、この土地で生きるために、森の資源が必要なんだ」さらに、話を続ける。
「だが、一方的に奪うつもりはない。我々は技術を持っている。
農業や建築、医療など、君たちにとって有益なものを提供できると思う」これは、交渉だ。
カルンは、説明を静かに話を聞き、考えを巡らせているようだった。
しばらく時間が過ぎた後、「すぐには決められない。村人たちと話し合う必要がある。一週間後に、また、あの山小屋で会おう。答えを持ってくる」と、太田隊長に説明した。
その後、再び、カルンを連れて車に乗り森の入り口まで送り届けた。
太田隊長はカルンを見守る。カルンはサルゴに乗り「一週間後、森の小屋で答えを話す」と告げ、森の奥へと消えていった。
タカシたちは、見送った後、街に戻り太田隊長たちと話し合った。
タカシ「太田隊長、異文明の人類がいたなんて、未だに信じられませんね」
昭彦「もし、交渉が決裂してしまうと、俺たちは、どうなるんでしょうか?」
徹「森の資源が手に入らなくなると、今の生活が維持できなくなってしまうかも」
哲也「最悪、戦争になってしまう可能性も考えられます」
明日香「私たちは、勝てるのでしょうか...」
太田隊長が、静かに答える。
「まだ、何も決まってない。先を考えても仕方ない。返事を待とう」
***新たな協定***
一週間後、街の交渉団5名と、
護衛隊として太田隊長を含めた調査隊20名が山小屋に訪れた。
山小屋の前では、カルンを含めた10数名の異民族が姿を現した。
カルンの他にも屈指の戦士といった姿の異民族8名と異民族の長の様な人物が5名だった。
タカシたちは、小屋の外で待機し太田隊長と
カルンがそれぞれ通訳、街側の交渉団として5名、森の住人の長達5名が入って行った。
明日香は、もてなしの為のクッキーと紅茶の準備掛かりとして、小屋に入ることが許可された。
森の長「お前たち、森の一部を使うことを許す。だが...制限がある」森の資源調達エリアとして、街側の方角にある森50キロ圏内の使用が許可された。 しかし、無秩序な伐採は禁止され、異民族の監視下で行われることになった。
長は森の地図を広げ、細かい区画分けを示した。
想像以上に文明レベルが高く地図の正確さに街側の交渉団も驚きを隠せなかった。
街側は各技術の支援や工業品の提供、建築や道の整備支援など提示した。
異民族は毛皮や狩猟した肉、薬草を交換として提供することが決まった。
***これからの道***
交渉は平和的に進み
山小屋のある地点を交渉の場として今後も交渉の場として使うことが決定した。
また同盟交渉も行われ一部、人々の交流や研修など、お互いに学びあう事も取り決められた。
交渉が終わり、お互いに「末長い、友好を。。。」と挨拶を交わした。
カルンは別れ際に太田隊長や調査隊を見て、静かに『また、会おう…』と宣言した。その言葉を最後に、森の住民たち森の奥まで消えていった。
カルン達を見守りながら太田隊長がタカシたちメンバーに
「交渉は、ひとまず成功したようだ。だが、これからが大変かもしれんな。何しろ異文明とのつきあいだからな」と、語った。
タカシたちは、その後、調査隊として森の住民が住むエリアに出向くことが決定された。
森の住民が住む、文明に触れ文化交流のための調査などが主な役目だった。
転移した街は孤立した状態だったが、
新たなる、異民族との出会いにより、新たなる道を歩もうしていった。
ご購読、ありがとうございました。
今回で、ひとまず、一部終了になります。
他の作品の物語の続きもそろそろ書きたい所もあります。




