Ep.1 The fighter of night
新シリーズの開幕です。
元ネタはマーベルヒーローのデアデビルです。結構ダークでストリートレベルなストーリーにする予定です。バイオレンスで痛々しい戦闘シーンが多めにする予定ですので、一応R15程度にしますが、もしかすると18クラスになるかもですので、苦手な方はお控えください。
第一章全13話構成の予定です。
Scene1
2022年11月13日3時 銀座 とある宝石店にて
Harlem of Jewelは長い歴史を持つ宝石店であり、財界のトップたちにも愛されている。
扱う宝石は幅広く、日本でここでしか流通していないような宝石も取り扱われている。
そんな店の近くに黒塗りのバンが一台停車した。中から四人の男たちがそれぞれ目出し帽と黒づくめの衣装を見に纏い降りてくる。
「警報が鳴ったら、二〇分も経たずに警備員がくる。素早く動け」
その中で一際体格の良い男が他のメンバーに対して声を掛ける。男の名前は安達智和。このチームのリーダーを任されている。
「馬場ッ!俺たちが戻ってきたら直ぐに動けるようにしておけ!」
そうして安達たちは運転席に一人残し、宝石店のガラスを破り侵入した。当然のように警報が鳴り響く。
そこから五分ほど経ち、馬場は車内でくつろいでいた。メンバーの中で一番太っている彼は諸々を理由に運転手を命じられた。それは彼にとってはラッキーだった。運転は緊張するが、一番安全な立ち位置にいられるから。
「俺だけ空調の効いた車内待機で、楽できる。良いバイトだぜ」
スマートフォンから地図アプリを開き、改めて計画された逃亡ルートを頭に入れなおす。
ナンバープレートは偽装。最悪、仲間を見捨て逃亡すれば、一人だけ助かる。
「前金もたんまりだしな」
雇い主の目的は謎。だが、明らか宝石店で手に入る金よりもこっちに支払ってる金のが高いはず。まぁ、あくまで自分たちはバイトだから気にする必要はない。
「にぃひひひ」
バンっ!!と車窓のガラスが何かに叩かれた。ニヤケ顔が「うぉっ」という情けない悲鳴と共に崩れる。そっと車窓を覗こうとしたその時、拳が窓ガラスを突き破り、髪を掴まれた。
「なっ、なっっなんっ」
力強く掴まれた髪を引っ張られて、無理やり外へ投げ出された。勢いよくアスファルトを転がされたことで、擦り傷を負ってしまう。
ゆっくりと顔をあげると目の前には黒いタイツを着た男が立っていた。
「ちくしょうッなんなんだ!テメェ」
「・・・・」
男は無言のまま、こちらを見下してくる。
とにかく仲間を呼ばなくては、、そう判断して、咄嗟に落としたトランシーバーに手を伸ばすが、その手を踏みつけられた。
「あ゛あ゛ッ゛」
絶叫が喉を突き破り、外を鳴らす。ジリジリと足を押しつぶされる。次第に痛みが神経をつたり全身にひろがる。踏まれた手は血が流れ、アスファルトを赤く染める。
なんとか身体を捻り足をどかし、立ち上がる。男の顔を睨みつけるが、顔にサングラスを掛けているために、その表情がわからない。
そもそもこんな夜中にサングラスを掛けている理由が分からない。アレでは何も見えないではないか。
痛みの止まらぬ手を抑えて、男を睨みつける。
「何者だ」
「・・・・」
その問いかけに返事はない。その代わりに拳が飛んできた。その拳をもろに顎に受けてしまい、ダウンする。その際に運転席にもたれ掛かる。それ幸いにしまってあったナイフを取り出す。
それを手に持ち、相手に向ける。人にナイフを向けたことはないが、素人でも危険なことは危険。
「ハンデはなしだぜ」
ナイフを男目掛けて突き出す。それを身体を逸らすように避けられる。
先ほどから気になっていたが、こんな夜中のサングラスなど視界がおぼつかないはず。なのに、この男は通常も素早い反射神経を持っている。
その態勢から、膝に対して強烈な蹴りを繰り出してきた。「へゔぁっ」と声を漏らし再び転がされる。さらに今の衝撃でナイフは地面に落ちてしまった。すぐに拾おうと駆け寄るもそれより先に奪われてしまった。
男はナイフを握るとそれを車のタイヤめがけて投擲した。それが刺さると、タイヤはみるみる空気が抜けていく。これにより唯一の逃亡手段が絶たれた。
「お前ぇ゛え゛」
怒りが行動を支配する。無我夢中で男は突進していた。ありえないパワーがその時はあった。だが男はその突進を軽々と受け止めた。
腹に強烈な膝蹴りを受ける。それが二度三度続くと地面に叩きつけられた。
服の襟を掴まれ、強引に頭を持ち上げられる。
「なにを、、ッ」
顔面を殴られた。鋭い拳が容赦なく顔を叩く。そしてそれも何度も叩きつけられる。最後に頭を捕まれ、地面を引きずれた。
「ゔぅゔ」
すでに意識が半分飛び掛けている。そんな自分に対しても男は容赦なく、掴んだ頭を車のボンネットに叩きつけた。ボンネットが凹んだ確かな感触が頭にある。「ゆる゛じでぇ゛」気付けば、そんな声を漏らしていた。
男は聞く耳を持たなかった。
再び頭を車に叩きつけられる。
死ぬ。本当にそう思った。
遂に攻撃が止まった。男は歩き出した。掠れた視界で男の背中を追う。男は仲間たちの入った宝石店は向かっている。
視界が黒く染まり意識が途絶えた。
Side Change
11月13日4時 銀座
通報を受け、警察官が深夜に召集された。その中に千代谷楓二は居た。深い青色、それは彼曰く『勝色』だという。そんな色のスーツを彼はトレードマークしている。
彼は現場を確認して「またか」と呟く。
「また『ビジランテ』ですね」
そんな彼の言葉に隣に現れた女性警官が答える。彼女の名前は荒馬谷伊乃歌。すらっとした体型に、誰に憧れたのか後ろに髪を束ねている。
彼女の言う『ビジランテ』とは昨今活動する謎の自警団のこと。直訳だが、他にふさわしい呼び方はない。夜な夜な、過剰な暴力で悪人を裁くその姿に、正義を感じる市民もいるが、警察からすれば傷害罪や殺人未遂の犯罪者だ。
「おそらくな。にしても毎回、毎回。ここまで酷くできるな」
被害者たちがタンカーで運ばれているが、その全員が意識を奪われていた。何人かは骨折もさせられていて、主犯格と思われる男に関しては元の顔が分からないほどに腫れている。恐らく意識が途絶えた後も何度も顔を殴られたのだろう。
被害者と言ったが、彼らは強盗団である。だからこれは妥当と一部の人は言うだろう。しかし、一人の人間にここまでする権利はない。
「『ビジランテ』はなんでこんなことができるですかね。少なくとも自分を正義と思ってるなら、ここまではできないはず」
「分からない。だが奴も俺たちに失望した一人なんだろうな」
東京の治安は過去最悪と言ってもいいだろう。女性の行方不明者が増加傾向、若者の間では麻薬が蔓延している。そして、殺人を含む犯罪が増えている。
こうなったのも『東京連続殺人事件』で木伐帆群の逮捕が遅れ、多くの犠牲者を出したこと、それによる警察の信頼の失墜が原因だ。
その歪みが世間に『ビジランテ』を求めたのだろう。
「でも、それは理由になりません。絶対に捕まえましょう」
「ああっ、そうだな」
ここで『ビジランテ』を捕まえることができれば、世間からは少しは信頼回復に繋がるだろう。
「確認が取れました」
話していると現場の中から一人の刑事が出てきた。
灰色のスーツとオールバックをしている彼は半坂陸。一連のビジランテ事件の捜査班のリーダーで、誰にでも物腰の柔らかい。そして、自分が尊敬するもう一人の刑事だ。
「この店。裏で『五傘組』が運営していた店ですね」
「「ッ!?」」
その名前は関東最大の極道組織。彼らは何よりその看板を重視しており、その看板に泥をなるような行いをすると、想像を絶する報復を行うことで知られている。
「本当ですか!?」
「ええっ、組のエンブレムが裏に飾っておりました。しかも、貸し出し用では無く、本家の物です」
「だとしたら、彼ら殺されますよ」
「でしょうね。彼らは許しの心をもたない。あるのは組への忠誠」
「じゃあっ、『ビジランテ』はこの店が奴らが関わっていたことを知っていたのですかね。もし彼が五傘組から送られた処刑人かもですぅ」
荒馬谷が口を開く。それは面白い考察だが、穴がある。
「いや、それはないな。だとしたら確実に殺してるはず。『ビジランテ』は半殺しにしても殺しは行ってない」
「それでも、彼が五傘組の組員と戦闘を行ったという記録はないですね。考えるのは有りかもしれません」
半坂さんの言う通り、ビジランテは組員との戦闘をしていない。ただし、彼らの復讐のために雇われてるとは思えない。
「あと思ったんですがぁ。彼が五傘組の関係者じゃないなら、五傘組はどう動くんですかね。報復は強盗団だけに向くのか、、」
「分からないな。自分たちのシマを守ったとして、攻撃はしないかもしれない。逆もある」
『ビジランテ』はこの店の裏の顔を知っていたのだろうか。知らなかったから助けたのか。知っていたけど正義感から助けたのか。それとも雇われたからか。
「まぁ、考察しかできないことは後で。今は少しでも多くの手掛かりを見つけましょう」
半坂さんが手を叩き、話題を切り替えた。
あれだけ激しく争ったのだ。何か手掛かりが残っているかもしれない。
「そうですね。では我々も入ります」
現場は想像以上に荒らされていた。宝石を入れているショーケースのほとんどが破壊されていて、床中にガラス片が散らばっている。そのガラスには血の跡もついていて、それが引きずられたように伸びている。
強盗団の一人がその背中をズタズタに切り傷が付いていたが、ここを引きづられたのか。
「なんて奴だよ」
ただ悪人を制裁するのにここまでする必要があるのか、いやそんなはずはない。明らかにビジランテは暴力を楽しんでいる。
「先輩っ!これ」
床を注視していた荒馬谷が大声で自分を呼ぶ。振り返ると彼女はしゃがみ何かを見つめていた。
「何だ?」
「これって銃弾じゃないですか?」
彼女の見つめる方向には確かに薬莢が落ちていた。この場所で銃が発砲されたということだ。
「そこにもありましたか、さっきたくさん回収したんですが」
鑑識の係長はひばさみで薬莢をつまみ放り込む。そして、その袋を見せてきた。その中には何十発分の薬莢や弾丸が入っていた。その分だけ、この場がより地獄であったことを示している。
しかしだ。銃が出てくるとなると、強盗団の裏の存在も想像しやすくなる。この街で銃を扱う組織は限られる。
「銃の種類は分かりますか?」
ことの本質はビジランテの存在よりも強盗団の裏にある存在ではないのかと思えてしまう。
「ハンドガンということくらいしか。詳しいことはまだ調べないと。でも、分かることはありますよ」
「なんです?」
「これだけの弾丸が発砲されたんでっ、ビジランテもただではすまないってことです」
確かに全てを避けたとは考えられない。瀕死の重傷を負っている可能性が高い。だとしたら、まだ近くに居るかもしれないと、一瞬思った。
「なるほど!先輩!私たちで探しにいきましょう!」
「いや、もう遅いだろ。ビジランテもプロだ。死んでなきゃ近場に長居はしない。無駄なことに時間は裂かない」
「先輩がそういうなら、そういう事にします」
荒馬谷はむすっとした顔でそっぽを向いた。彼女には彼女なりの正義感があったのだろう。
「千代谷さん、さっき半坂さんにも見せたけど、貴方にも報告しますね」
そう言って鑑識の係長はトレーに乗せられたある物を見せてきた。それはビジランテ捜査の大きな手掛かりになるとそう予感させる物だった。
Side Change
同刻
警察が現場に集まるのを遠目から大男が見ていた。
深緑のトレンチコートとオールバックな金髪。動くたびにじゃりっジャリッと音が鳴る。
大男は携帯を使いことの顛末を聞いた。
要件が終わり、その場を歩いて離れる。しばらく歩いたところで彼の元に一台の黒塗りアルファードが止まる。そして運転席から男が降りてくる。
「お迎えにまいりました。『鎖男』さま」
「ご苦労。穂止くん」
穂止くんは『鎖男』と呼ばれた男の直属の配下で、ドライバーかつ強力な戦闘員の一人。
グレーのロングコートと胸にかけた金のイルカのペンダントがトレードマークである。
「いえいえ。これが私の仕事ですので。いつでもお呼びください」
運転士が後部座席の扉を開け、大男を迎え入れる。かなりの大男だが、余裕でスペースがあり。楽な姿勢をとる。
「いつものホテルでよろしいでしょうか?」
「いや、その前に歌舞伎町に寄る。これもあの御方から頼まれた」
この『鎖男』に与えられている任務は他の四天王と比べても多い。今組織が力を入れている事業は『麻薬』と『人身売買』。その二つを任せられている。
「かしこまりました」
「それと、これからあの御方に電話をする。静かに運転してくれ」
「お任せください」
車が動き出すと同時に大男は胸ポケットからガラケー取り出す。手慣れた手つきで番号を入力する。コールが三回鳴った頃に相手が電話に出た。
『私だ』
電話越しに冷たく低い声が聞こえた。彼こそがこの街の支配者である。声だけでもその存在感が伝わってくる。かつて、この『鎖男』をもその実力とカリスマだけで膝を折らせた。
「禅荘寺です。例の闇バイトの奴らは、無事に役目を遂行しましたが、その代わりに全員が警察に捕まりました」
五傘組への攻撃。これは宣戦布告であり、奴らの影響力が弱まったことを他の組織にも知らしめる為に。この街から奴らを排除できれば、支配は盤石になる。
『そうか。報告ご苦労』
彼らはこちらの足がつかない様に雇った存在。捕まったとして何の問題はない。
「一応、確認しますが。奴らを始末しますか?」
『その必要はない。万が一があった場合は『弾丸』が始末する。お前は当面、例の計画の準備を進めろ』
「分かりました。それともう一つ。『弾丸』によると彼らを仕留めたのは『ビジランテ』とのことです。奴は今までに何度も私の配下を襲撃しています。私の方で対処しましょうか?」
『その必要もない。現状はL.E.Dの奴らにのみ注視しろ。ビジランテは必要になれば組織で始末する。それまでは独断を禁じる』
「分かりました。報告は以上です、遅い時間に失礼しました」
『気にするな。お前の方も遅い時間までご苦労だった。ゆっくりと休みたまえ』
「ありがたきお言葉です。これにて失礼させて頂きます」
『うむ』
向こうから電話を切られる。絶対にこちらからは電話を切ってはならない。これが決まり。報告が終わり、運転席に視線を送る。
「後どれくらいで着く?」
「あと十分と少しという所です」
「そうか」
車窓から街の景色を眺める。暗闇が鏡となり自分の顔を映し出す。
この街は汚れている。光に生きるものはその汚れに気付くことができない。だから、この汚れは闇に生きるものにしか気付くことができない。
そして、この汚れこそが闇に生きるもの自身であるということ。それもこの世界にの住人にしか分からない。だから私もあの御方もそして『ビジランテ』も汚れなのだ。
Side Change
新宿 同刻 とある路地裏
一人の黒い姿の青年が壁にもたれ掛かっていた。
身につけている衣装は血に染まっている。その顔は目出し帽で隠しており、その下で常に目を瞑っている。その為に表情を読み取ることが出来ない。
被った目出し帽を脱ぎ捨てその顔をあらわにする。
表情の死んだその顔は二〇歳の若さがあるとは到底思えない。死の気配を纏っている。
彼こそがビジランテであり、その名前は『松笠遥』という。表の姿は大学生、裏の姿は闇夜の戦士である。
Scene2
11月13日 12時頃 池袋立室大学
皆が昼食を求めて、教室を発つ中で松笠遥は一人残っていた。まるで誰かを待つかのようにスマホでLINEを見つめる。
「画面を見つめてても私は来ませんよ。遥くん」
その画面を覗き込むようにその女性は話しかけてきた。彼女こそが僕の待ち人、琴吹亜希。ショートヘアの黒髪に、モデル顔負けの美しい女性。服装はイマドキの女子が着ていそうな僕では形容し難い格好だ。
「僕は君に待っていてと言われたから、待っていた。話があるからってね」
「話は昼食を食べながらしましょ。奢るわ」
彼女と僕の関係は、一見カップルと思われてるかもだが、ただの女友達で、知り合ったきっかけも学部の同期ってだけで、それ以上の関係には至っていない。それにお互いに特別な感情は抱いていない。だからこそのこの距離感が保てている。
「分かった。けどもう遅くないか?このぐらいの時間なら席はもう埋まってる」
「別に食堂で食べるとは言ってないわ。遥くんは、今日は二限で終わりでしょ。私もなの」
「それはデートか?」
「デートよ」
「分かった。それじゃあ、行こうか」
立ち上がる前に、メガネケースに入れているサングラスを取り出す。
「いつも気になってるんだけど、なんでいつもサングラスを付けてるの?春夏秋冬朝昼晩いつでも付けてるから変人扱いよ。せっかくスタイルも顔もいいのに、勿体ないよ」
確かに常時サングラスを付けているのに、盲目というわけではない。ましてはスーパースターというわけでもない。当然、僕は周りから変な目で見られている、まぁその視線もこれで遮るが。
「僕は生まれつき視力が高すぎるんだよ。マサイ族よりも高い、ここからでも君の顔の毛穴を数えられるぐらいに」
冗談まじりにそう言うと、ぺしっと亜希に頭を叩かれる。視力だけと言ったが、実際は他の五感も常人よりも優れている。それにこれは生まれつきじゃない。
授業を受ける時は板書やスライドを見る必要があるから仕方なく外している。
「女子に向かって失礼ね」
「悪い悪い。ジョークだよ。・・まぁ見えるのは事実だけど」
最後の方は聞こえないようにぼそっと言う。室内だと、まだマシだが外だと流石に情報が多すぎる。特製のサングラスを付けて立ち上がる。
「この視力を抑える為に付けてる」
「あっそ」
「でっ、食事はどこに?僕は今チーズバーガーが食べたい」
「奢られる側なのに、選べるとでも?小洒落たカフェよ」
「まぁ、どこでもいいや」
Scene Change
二人で大学を後にして、最寄駅から二駅離れたところにある喫茶店に入った。
そこは昔ながらの雰囲気を残しながらも、古臭くは感じさせない清潔感があり、店内には珈琲の香りがその雰囲気を加速させる。
テーブルまで案内されて向かいの席に座った。ウェイターからメニューを渡され、そこに視線を落とす。一方の亜希は僕の顔をまじまじと見てくる。
「今更だけど、酷い顔ね。どこで怪我したの?」
今朝の戦いでのダメージはもう残ってないが、流石にアザとかは痕は消えない。だからテープなどで簡易的に治療した。
「昨日、バイクで事故った。その時ね」
嘘をつきつつも、メニューに視線を再度落とす。普段学食でもカレーを食べているが、たまには喫茶のカレーというのも乙だろう。
「頑丈なんだか、違うだから。事故起こして、よく大学に来れたわね。てか、バイク持ってるのね」
「そりゃあ、僕も男だ。男ぽっい趣味の一つや二つはある。バイクはその一つだ。僕は特製カレーライスと食後にコーヒーで」
話しながら、ウェイターに注文を言い渡す。目線で亜希にも早くするように促す。
「あっ、私カフェラテだけでお願いします」
注文が終わり、店員の背中を見送ると亜希は表情を切り替え話を切り出してきた。
「まず確認だけど。遥くん、夏のインターンで黒崎グループの会社行ってなかった?」
「ああっ、行ったよ。確かKeep Joyだ。それがどうした?」
「あそこって医療機器や新素材の開発に強いじゃない。あなたのサングラスもだけど」
確かにこのサングラスはあそこの製品だ。昨年も神経を繋げて本物のように扱える最先端の義腕や義足を発表して世間を賑わした。
「まぁそうだな。昔から使い続けてる。だからインターンにも行った。就活の相談か?」
「いえ、違うわ。話ってのはビジランテについてなんだけど。今朝のニュースは見た?」
彼女の口からその名前が出るたびにいつもヒヤッとする。実際僕の正体がビジランテであるからってのもある。
このタイミングでウェイターがコーヒーとカフェラテを運んでくる。その香りが鼻口をくすぐる。
「SNSで軽くみた程度。詳しくは知らない」
正確には見る暇なく大学に来たが、当事者なので話は合わせられるだろう。
「なら分かると思うけど。いつものやつよ。今度は闇バイトで雇われた強盗団が襲われたみたい。毎度みたいにボコボコよ」
あれは闇バイトだったのか。だが、リーダー格の男は明らかにそこらの人間じゃないほどに強かったが、だとすると裏にはまた違う組織が?今夜はその辺を探るか。
「それは可哀想だが、元から闇バイトに手を染める様な人間だろ?僕は自業自得だ。命あるならマシだろ」
僕はそこらのクズな犯罪者と違い。決して敵を殺さない。それが唯一のルール。神に誓ってもいい。
「世間のみんなはそう言うけど、ビジランテの行いも立派な犯罪よ。許してはいけない」
「僕は違うと思うが、君の意見は尊重するよ。そんな話をしたいんじゃないんだろ?」
「ええっそうね。これからが本題。これを見て」
亜希はテーブルに置いたスマホのアルバムを見せてきた。それを見て心臓が止まるかと思うほどに驚いた。
その写真に映っていたのは、僕にとって見覚えのあるサングラスだった。確か、今朝の戦いで落としたまま、拾う暇なく放置したんだった。
「これ君の叔母さんが?」
会ったことはないが彼女の叔母は腕の立つ警察官らしい。
「いえ。叔母の同僚がね。私が警察志望で、この事件に興味があるって言ったら送ってくれたの」
「それっていいのか?僕は詳しくはないが、秘匿情報じゃないのか」
「さぁね。あの人少し天然だから。でも、あの人が言うにはビジランテにまつわる初めての物品らしいの、そしてこれは黒崎グループの製品。あなたのサングラスと同じようなね」
そう言うとまっすぐこちらに視線を送ってくる。その表情から僕を疑っているように見える。確かにデザインこそ違うがメーカーは同じだ。じっさいにぼくのだが。
「君はつまり、僕がビジランテって言いたいのか?」
それを言った瞬間、空間が凍りついた。
「頭によぎったけど、あなたは違うわよ。そういう性格じゃないでしょ。あいつは破滅主義者の暴力魔。あなたはその真逆、現実的な真面目くんよ。変わり者だけど。聞きたいのは、「こちらご注文のカレーライスになります」」
その言葉を遮るようにウェイターがカレーライスを運んできた。先に運ばれたコーヒーにも負けないくらいのいい香りがただよう。
「先に一口、いいかな。お腹空いてるんだ」
「勝手に話してるから、耳は傾けなさい。・・・私はビジランテを見つけて警察に突き出したい。だから、その為に私に協力して欲しいの」
要するに黒崎グループ、Keep Joyについての情報を少しでも多く話せってということか。まぁ、彼女は人を疑うことを知らない警察に最も向かない人種だ。僕の正体に気がつくわけがないし、疑うわけがないとあらかじめ分かっている。
「そう言うことか。君のしたいことは理解するけど、ごめん。僕はそれに協力できないや」
「ありがとっ早速。情報をちょう、、、、えっ?」
否定されると思っていなかったのか、彼女は大きく動揺する。確かに僕は彼女には協力的だったが、これは案件のレベルも前提も大きく違う。そもそも僕がビジランテで、根本的に協力できない。
「当たり前だろ。君にその資格はない。企業の情報を勝手に流せば怒られるのは僕だ。調査するなら好きにすればいいが、自分を警察と勘違いしないほうがいい。ビジランテは本物の犯罪者と戦っているんだ。君が巻き込まれたら、酷い目にあうぞ」
少し強く言いすぎたかもしれない。自分を客観的に見ることができないことがもどかしい。
「分かった。あなたのこれに関しては協力は求めないわ。でもあなたも私の調査に首は突っ込まないで。友人だけど、恋人や家族でもない人からの言葉には従わないわ」
「いいけど。忠告はしたぞ」
彼女は理解していない。正義感ではどうにもならないこの街の闇を。
そこから僕たちは何も喋らずに喫茶店を後にした。
Next Scene
彼女と別れた後に、僕は一人で街中を歩いていた。
サングラス越しに見える世界は薄暗いが、くっきりと見える。今は自宅マンションのある新宿にまで戻ってきた、ここは特に闇が濃い。
歌舞伎町の付近に近付けば、その異質さがよく分かる、歩いていると、誰かに足を力強く掴まれた。
「おぉいぃ。アンタ、アレ持ってんなら、くれよぉ」
その人物は掠れた声で、明らかに弱っている。しかし、その握力は尋常じゃない。
これはある薬物の症状だ。
「僕は売人じゃない。離してくれ」
「いいやゃ!アァンタはぁ持ってる!?!」「すまねぇ!」
すぐに別の人物がやってきて無理やり彼を引き剥がしてくれた。
「お前もうあっち行け!」
もう一人の男は彼を追い払ってくれた。彼は地面を四足歩行のように走り去っていく。それはもう人間の動きじゃない。
「助かりました」
「いやいや。ウチのダチがすまねぇことをした。アンタ、見えてないんだろ?本当に申し訳ない」
さっきの彼とは大違いにしっかりと謝ってくれた。どうやらこの人物はまだ染まってないみたいだ。
「それは大丈夫だ」
「ならいいが。自己紹介が遅れた。オレは灰風弧呂呂だ。アンタ名前は?」
コロロはフランクに手を掴んで握手してくれた。それに応じるように僕も握り返す。
「僕は松笠遥だ」
軽い握手を終え、僕は視線を彼らの方は向けた。そこには複数人の男女が地面に横這いに群がり、何かを吸っていた。まるで野生動物が肉を貪るような様子で、人間の行動には思えない」
「それで、彼らは例の依存症か?」
「ああっな。一昨日、吸っちまったみたいで。そこからはもう人間じゃないみたいだ。俺たちは訳アリが多いがその分、絆があった。コミュニティとして機能していた、でもあの薬物が出回ってから、壊れちまった」
「大変だな、色々」
「オレはまだ日が浅いからな。次に会うときはアソコかもしれねぇ」
周りが壊れていく中、自分だけはまともなんて想像も出来ない。精神的な苦痛だろう。
今のこの町での問題は拡大する犯罪カルテル。彼らは人を攫い、薬物を撒き散らし、町の治安を破壊している。
「アンタ、もうここには来ない方がいい。あの薬を吸ったやつは何でかパワーが上がる。死人は出てないが、アンタみたいなのは殺されちまうかもしれねぇ」
「肝に銘じておくよ。アナタも気をつけて」
「おうよ」
短い会話を終えて僕は一人家のあるマンションは向かった。
新宿にある高層マンションの中間層に僕の家はある。家賃はもう何年も顔を見ていない義父からの仕送り。義父がどうやって稼いでるかも分からないが、大金はあるらしい。
リビングに入りすぐ服をソファに脱ぎ捨て上裸になる。普段はスタイルの出ない服を来ていて目立たないが、鍛えられた筋肉は同世代よりはある。そんな体にある無数の傷跡、切り傷に打撲痕、そして『弾痕』。
これらは今までの戦いで負った痕。痛々しそれは他の人が見れば絶句するかもだが。僕からすればこれはトロフィーだ。
テレビでニュースを見ながら、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、各種筋トレをセットで行う。それが終わると次は吊るしたサンドバッグに向かってパンチや蹴りの訓練をする。
ニュースでは今朝の話を取り上げ、ビジランテを悪と報じている。世間からどう思われるようと、僕は闘う。闘い続ける。この街から悪を一掃するまで。
一通りのルーティンをこなしたあとに大学の課題をこなす。そしてシャワーを浴びて汗を流す。パウチゼリーで栄養をとる。
タンスから黒い服を取り出し、ビジランテ装備一式を着る。と言っても黒いタイツ状の薄い服だ。洗面台に立ち、大量のワックスで髪型を変える。
そして今まではサングラスだったが今朝のことを考え、今日からは黒い目隠し布で視界を遮る。まるでどこかの最強先生みたいだが。これで準備は完了。
今宵も下界に降りる。ビジランテとして。
Final Scene
11月14日1時 新宿 歌舞伎町
亜希はひたすらに逃げていた。
私はバカだったと自覚した。ビジランテを一目見ようと夜中に新宿に来ていた。新宿はビジランテの活動報告が最も多い街だから、もしかすると可能性があると思っていた。カメラを持って歩いてるといきなり男に手を掴まれた。その手を強引に振り払い今に至る。
その男はイルカのネックレスを揺らしながらも徐々に私との距離を詰めていく。
遥くんの忠告を聞けばよかった。そう思いながらも追ってくる男から逃げる。追いかけっこをする私と男を見ても通行人は気に留めていない。興味がないのか、関わりたくないのか。
狭い路地を必死に走って辿り着いて先は行き止まりだった。まるで牧羊犬に誘導された羊のようにここまで追い込まれてしまった。
「壁際だ。もう逃げられないな」
「私に何をする気よ」
「安心しろ。お前はたった今から『商品』だ。傷もアザも付けない。ただ眠ってもらう」
男が持っていた布を瓶から垂らした液体で湿らす。おそらく睡眠を誘発するための化学物質。
それを手にこちらに近付いてくる。
「嫌!来ないで!」
「大人しくしろ!暴れると傷物になるだろ!」
殺される。っと心が悲鳴を上げる。そんな時、路地の奥側に黒い影が現れた。
その人物は目元が黒い布で覆われていて、表情が読み取れない。でも、彼がビジランテであると一目で認識できた。目の前の男はまだ彼の存在には気付いていない。
彼がこちらに殺気を飛ばした。そんな気がした。
それは男も同じように感じたのかすぐに振り返った。そして、ポケットナイフを取り出す。
走り向かってくる彼に対して、ナイフを突き出すが、彼は身体を反らしてナイフを避ける。そのままナイフを持つ腕を持ち上げ、無防備な男の腹を殴りつける。「ぐっ゛」と声を漏らしながらも痛みに耐える。
そこから両者は素早い速度で拳を交えた。特にビジランテは器用にナイフの攻撃をかすりもしない絶妙な距離で回避しながら、的確に攻撃を与える。
男が空中でナイフを逆手に構え横薙に振るう。それを両手で受け止めるビジランテ。その横腹に男は強烈な蹴りを入れる。その一撃で体勢の崩れた彼に再度、回し蹴りを背中に入れた。そこへさらにナイフを振り下ろす。切られると思ったが、地面を素早く転がり避けてみせた。そこからビジランテは振り返る。
「はぁーっはぁーっ」っとビジランテが息を漏らす。だが数秒で呼吸を整えて、ハイキックをする。男がそれをバク宙でかわしてみせる。すごい身体能力だ。お返しと言わんばかりに男はナイフを持っていない方の腕を大きく横に振るう。それを彼は両腕で顔を守る様に構える。
素早い判断だと思ったが、それを見越しての様に男は回転した、今度はナイフでその腕を切りつけた。血が飛んだ。服の上から薄皮一枚切ってみせたのだ。
格闘技も見たことがない自分にとって彼らの戦いは野蛮そのものだった。戦いとはここまで痛々しいものなのか。危険なとこにいるのはわかっている。でも今はこの戦いに見惚れている自分がいると気が付いてしまった。
無防備に走り寄るビジランテ。それを二段蹴りで押し返す。胸元を蹴られた彼は血を吐き出す。
まだ余裕そうな男はナイフを振りかざす。それを彼は両手で止めた。そして素早い蹴りを男の腹に入れた。その衝撃で男はついにナイフを地面に落とす。さらに大きな隙ができた男にビジランテは顔を二度殴りつけた。
男も口から血と折れた歯を吐き捨てる。男は睨みつけ、素早い身のこなしでビジランテに攻撃を繰り出す。それを流しながら応戦する。しかし、ダメージの蓄積の差か。ビジランテが一瞬フリーズした。
その隙に男はハイキックを叩き込む。そこから連続でパンチをビジランテの顔に与え続ける。
彼も負けじと拳を繰り出すがペースを完全に男に持って行かれている。回し蹴りを再度受けて、身体がバランスを崩した。男に背中を向けてしまった。
そんなビジランテに男は容赦無く踵落としを背中に叩き込んだ。
それによりビジランテは大量の血を口から吐き出し、地面に倒れた。
「はぁーーっこれでおしまいだ。はぁーーっ」
男は自身の口の血を拭いながら勝利宣言をした。
その時、私は絶望した。
Side Change
相手の呼吸が乱れているのを耳で感じる。
僕は冷静さを取り乱していた。
彼女が襲われているのを見て、怒りが脳を支配した。それは良くないことだ。
『怒りは強い。それは只人の理だ。俺たちの様な存在は常に冷静にならなくてはならない。怒りに負けている時こそ、呼吸を整えろ』
親父の声がフラッシュバックする。僕に戦いの全てを教え込んだ、養父。
僕にこの力の制御する術を教えてくれた。
何故視界を塞ぐのか。僕ような異常感覚を持つ者は五感を一つ縛ることで他の感覚をより鋭くすることができる。目の前しか見れない視覚に対して、聴覚は三百六十度全てを把握できる。だから目を閉じろとそう教えられた。
「すぅうう。はぁああ」
地面に倒れながら、深呼吸をする。この程度の痛みじゃ僕は止められない。聴覚に意識を集中する。視界がないはずなのに、レーダーの様に全ての動きが分かる。耳が鼻が肌が口が世界の全てを構築する。
男はナイフを取り行っていた。
男がそれを拾うそのタイミングで、立ち上がる。それに気が付いた男はナイフで切り掛かってくるが、それは側宙で回避する。
「なんでまだ意識がッ」
男は動揺していたのか、ほんの一瞬の隙を生んだ。懐に入り拳を三度叩き込み、回し蹴りを入れる。
後ろに倒れた男はすぐに立ち上がり、ナイフをスイングする。それを後ろに下がる様に避けるが、胸元を薄皮一枚切られてしまう。まだ感覚が鈍い。
そこから血が滲み出るが、ナイフ攻撃の隙をついて、相手の腕を掴み背負い投げで地面に叩きつける。
マウントポジションになり男の横顔を叩く。すぐに押し飛ばされ、後ろに下がる。立ち上がった男へ連続で蹴りを入れる。それを連続のバク転で回避される。
そこから体勢を立て直した男はナイフを再度振る。その腕を押さえつけ、横回転しながら、もう片方の拳を男の顔を殴る。その際に、背中を切りつけられる。「あ゛あ゛」っと声が漏れる。
段々と感覚が回復してきた。
男は素早く連続で、ナイフで切りつけてくるが、そのことごとくを感知して回避する。そして隙をついて太ももにローキックを入れる。そして姿勢が低くなったところへ拳を下腹に叩き込む。さらに二段蹴りで顔を飛ばす。
壁際まで下がった男の顔を壁に打ち付けるように殴り飛ばす。バランスを崩した男の腹にさらにもう一撃。最後にその頭を掴んで壁に叩きつけた。
Side Change
ゴンッ!と鈍い音が聞こえた。そこから「う゛ゔゔっ」と男の口から声にもならない何かが漏れていた。
今の一撃で男は頭から血を流し、その痛みに脳が苦しんでいる。
それが続いた。二回三回四回と、ビジランテは無言で容赦無く男の頭を壁に叩きつけ続けた。地面に血溜まりが出来るくらいに、次第に目も当てることができるず、耳だけがその回数を数えていた。
数が増えていくうちに私は、その男の無事を祈っていた。男は私を誘拐しようとしていた。それに対してビジランテはおそらく守ろうとしてくれたのだろう。でも、今、男が可哀想と思ってしまった。
何分経っただろう。いつしか男の悶える声が聞こえなくなった。けれど鈍い音は続く。このままでは彼はあの男を殺してしまう。目の前で人が死ぬのが何より怖かった。
「もうやめて!!彼の意識はもう無いの!無いのよ!!」
勇気を振り絞り叫ぶ。それが届いたのか。ビジランテはようやくその手を止めた。と思ったその時、ビジランテは勢いよくハイキックを男に喰らわした。それを受けた男は力なく落ちた。その最後の一撃を見て、私は腰を抜かしてしまって動けなくなった。
倒れた男は頭から大量の血を流し今すぐ応急処置をしないと助からない状態だ。
それを無視するようにこちらに歩み寄ってくる。咄嗟に後ろに下がろうと動くもすぐに壁に当たってしまって逃げ道を無くしてしまった。
ビジランテ自身、全身打撲に、切り傷を負っているはず。口元は血で汚れている。
そんな姿でこちらに向かってきて、血で染まった手を差し出してきた。
彼はヒーローのつもりらしい。遥くんはビジランテに襲われた犯罪者は自業自得と言ったが私にはそう見えなかった。明らかにやり過ぎで、彼はそうまるで悪魔だ。
正義の反対が別の正義であるのなら、悪の反対もまた別の悪なのだ。
第一話如何でしょうか?
15000文字に抑えるためにいくつか短縮したシーンもありました。一応、本作は紅の赤のスピンオフとして執筆しております。時系列としては向こうの東京編のその後。正確にはDeath of Shadow Village編第一幕のその後ですが、そちらはストーリーにはほとんど関係ないです。
スピンオフなので、向こうのワードが出てきますが、こっちだけでも楽しめる作品にはする予定です。ですが、そのうち本編キャラが出るかもです。
お試しで1話だけ公開します。残りはまとめ出します。