序章
私、五十嵐という名前である。職業はフリーター。今はコンビニの店員をしている。実家暮らしだ。
実家に住んでバイト代で家の家計を助けながら生活する毎日だ。知り合いは都会へほとんど出て就職し田舎に残された私はこの地を守る的な立ち位置で過ごしている。
そんなわたしも趣味にしている事がある。それはPCゲームだ。この農村で外界の情報を知るにはかろうじて繋がっているインターネットが不可欠なのだがその情報集めの代わりにゲームの趣味を許可してもらっている。なので田舎にも関わらず持っているPCは本格的な大型ゲーミングパソコンだ。都会に出て買ってきたのだ。
実はこのPCの事実を知るものはこの農村には少ない。家に据え置くデスクトップタイプなので外に持ち出さないので皆に分からない。この辺ではこういうことをしているのは私だけかもしれない。
いまやっているのはMMORPGだ。ゲームタイトルは「メタリックワールド」
機械の町で日常を過ごし他プレイヤーとの交流を楽しんだりするタイプのゲームだ。私はここの住民をもう7年やっている。ちなみにわたしのHNは「chaos」
子供のころに考えた漫画からとった単語なのだが気に入っていてずっと使用しているというわけだ。
そんなある日知り合いのHN「フェニックス」から別のゲームをやろうという誘いがあった。
「最近fpsをやる知り合いができたんだけど、パーティプレイで一緒にやらないか?」
私としては正直ここでの生活もマンネリだったので気分転換にはいいかと考え誘いに乗る事にした。
さっそくゲームをダウンロードする。ゲームのタイトルは「ブラッドテンペスト」
最近リリースされたばかりのタイトル。リリース初日から大量の人が押し寄せ人気で、たくさんのプレイヤーが我先にと攻略の最中だ。
実は私はfpsは初めてだったのでフェニックスに色々教えてもらうことにした。具体的には近接武器、遠距離に適したスナイパーライフル、接近戦で力を発揮するショットガンなど重火器の知識をトレーニングモードで一緒に確認。また銃の操作には発射の反動を抑制するテクニック(リコイル)があること、銃によっては弾が自由落下によって落ちることを予測して撃つ偏差撃ちがあるなど基本テクをフェニックスから教えてもらう。
始める時はこんなもんでいいだろうという話になりトレーニングモードを切り上げ戦績が残らないモードに入る。最初キャラクターの選択などあったがその知識はないので適当に選んでフェニックスとともにゲームフィールドに立つ。
しかしこのときは気づいていなかった。ここからこのインターネット上全てを巻き込むような大きな争いに入っていくことになろうとは…
このゲームは最初フィールドに立った時に銃を拾うシステムとなっている。広大なフィールドで敵味方が点在していてぶつかったら戦闘を行うシステムだ。
私はこの時既におかしな感覚に陥っていた。
ゲーム内での話…しかも非科学的な話なのだが「何かが見える」
目が分析スコープにでもなったような感覚に陥っていた。まるしかしわたしは気のせいだろうととりあえず銃を探して拾うということをするのだった。
続く