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裏切者の魔法使い  作者: アマルテア
一章(前) 『魔法師の誕生 編』
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NO.7 呪いを打ち砕け

―『魔導大図書館』の役員である鈴菜。

大通りへ続く道を角で急に曲がり、靴がズザザザと音を立てる。

音が止むと同時にその場で立ち止まり、風に揺れる髪を軽く払った。

夕日の光に包まれ、濃いオレンジ色に染まる街を見つめる。


「……ここに現れるなんて、呪術師さん。どういうつもり?」


誰もいない静かな通りに向け、独り言のように呟く。

当然返事が返ることはない。だが、代わりに奇声が響いた。


呪術師――。その見た目は「個性」というには不気味すぎる異形だ。

悪魔を彷彿とさせる姿に、一般人が「化け物」と恐れるのも無理はない。


「よし……そこから引きずり下ろしてやる!」


鈴菜はズボンの後ろポケットに隠していた小型銃を手に取る。

ただの銃ではない。弾丸は魔術によってその場で生成する特別製だ。


右手に銃を構え、呪術師に狙いを定める。

「ついでに、その呪いからも解放してやる!」


そう言い放つと同時に、魔術で作り出した銃弾が銃口から発射される。



遠くから、さまざまな音が風に乗って聞こえてくる。

コンクリートの砕ける音、呪術師の奇声、人々の悲鳴――。


「スズ姉が命をかけて戦ってるのに……!」


アヤメは怒りと不安を抱えながら、鈴菜が駆け込んだ道を目指す。

後ろから「危ない!」と呼び止める声が聞こえたが、振り返る余裕などない。

抱えた荷物を胸に、ただひたすら走る。


「スズ姉、ごめん……!」


約束を破る後ろめたさを押し殺し、彼女は鈴菜の元へと向かった。



「くっ……!」


鈴菜は銃弾を撃ち続けながら、呪術師の動きを観察する。

「やっぱり、あと一押し必要か……」


呪術師はそれぞれに強さが異なる。

今回の相手も一人で押し切れる相手ではあるが、決定打となる攻撃が必要だ。


鈴菜は小型銃を地面に置き、右手を解放する。

そして、左手に新たな魔法の準備を開始する。


「これで終わりだ!」


両手を呪術師に向け、足元から生まれた風と光が手のひらに集まっていく。

次の瞬間、ビームのような強力な魔法が呪術師を直撃した。


「……っ!」


呪術師の奇声は、最後には苦しげな悲鳴に変わり、消えていった――。



鈴菜が呪術師を倒したその時、背後から小さな声がした。


「スズ姉……」


振り返ると、そこには不安そうな顔をしたアヤメの姿があった――。

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