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裏切者の魔法使い  作者: アマルテア
一章(前) 『魔法師の誕生 編』
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NO.6 ―『呪術師』

―『呪術師』


私はその言葉を口にした。

アヤちゃんも私も、それが何なのかを知っている。


今でも街中でひったくりや強盗などの物騒な事件はあるけれど……

この騒動はそれとは違う。

さっき聞こえた悲鳴は、ただの数人ではなかった。

――大勢の人が一斉に叫んでいた。


「……『呪術師』で間違いない」


―『呪術師』

一般人にとっては『未知の恐怖』に他ならない。

簡単に言えば、人々にとっての『敵』だろう。


しかし、魔法師である私たちは少し違う見方をする。

呪術師は敵というよりも、『正気を失った存在』だ。

彼らは人を見つけると襲いかかる、そういう存在。


そして、呪術師が使う『呪術』については、

魔導に詳しい魔導大図書館でさえも、解明されている部分はごくわずかだ。


呪術は、魔導――つまり魔術や魔法――とは明らかに異なる。

―それは見れば分かる。

呪術師は 空に浮いている。

それ自体が、魔導の常識ではあり得ないことだ。


現在の魔術や魔法には、空を飛ぶ術も、身体能力を飛躍的に向上させる術も存在しない。

そういう意味でも、呪術師を敵として捉えれば『強敵』と言えるだろう。



呪術師の襲撃に対して、公共機関が黙っているはずがない。

そこで、魔導大図書館にはもう一つの重大な役割がある。


それは――『呪術師の阻止』。

呪術師の襲撃を止め、その暴走を鎮めることだ。


その役割を担うのは、もちろん魔法師や魔術師たち。

強力な魔法を操る魔法師はその任務に適しているが、

魔術師もまた、許可されれば参加することができる。


魔導大図書館に属する者には、専用の制服が与えられる。

これを着用することで、一般人と間違われないようにしながら任務に臨むのだ。

ただし、この条件を満たさなければ、呪術師の阻止に参加することは許されない。



「アヤちゃんはここで安全に待ってて!」

私は手早くカバンを彼女に預けた。

返事を待つ余裕もなく、ただ大通りに向かって駆け出す。


走りながら、ポケットから灰色の礼装用手袋を取り出す。

左手にはめようとしたその手袋には――


魔導大図書館の紋章が、深く刻まれていた。

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