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NO.22 なりかけの兆し

「なんで私の名前を知って……」

鈴菜たちと対峙する彼女は驚きの声をあげた。


「昨日に引き続き、今日も会うとは。私の行動範囲も狭いみたいですね」

鈴菜は喜ばしくない顔でそう返す。


「ところで、以前見かけたあのお供の二人は?まさかリストラですか?」

『お供の二人』とは、初めて会ったとき、

彼女の後ろにいた取り巻きの二人の女子生徒のことである。


「あの二人?なんだか知らないけど、“神坂家ブランド”をレンタルだと思ったみたいね」

彼女は肩をすくめながら、何でもないようにそう答える。


「今日は本当に偶然なので。……じゃあレノ君、行こう」


変に話に加わらず、様子を見ていた玲音を連れ、

彼女の横を足早に通り過ぎた。



「彼女が神坂さんですね!

神坂家のオーラがあって最高でしたね…!」

玲音はいつになくハイテンションな様子で鈴菜の方を勢いよく振り向く。


「ほんとその顔が物語ってるね」

鈴菜は呆れた様に、けれど微笑ましそうにそう言う。


彼女の後ろ姿が完全に見えなくなってから、

道のそばにあるベンチに向かい、

2人隣り合わせで腰を下ろし、鈴菜は話を続けた。


先ほどとは打って変わって、鈴菜は真剣な顔をして話す。

「レノ君、私の言いたいこと、君も気づいてる?」


「そうですね。

先輩、これは可能性の話なのですが」


「もしかしたら彼女は、

『魔法師になりかけている』のではないでしょうか?」


玲音はそう言い終え、固唾を飲んで鈴菜の答えを待つ。

「うん、私もそう思う」


それを聞いて固くなっていた表情を緩め、玲音は続ける。

「原因はさておき、もし彼女が魔法師になりかけているとしたら、彼女の身が危ないですよね…」


玲音は鈴菜から目を離し、考えるように顎に指を当て、

顔を正面に戻す。

その隣で鈴菜が口を開く。


「呪術師は、“魔法師になりかけている人に寄ってきやすい”。」


玲音が頷き、代弁するように続ける。

「呪術師の特徴の一つとして、

“魔法師になりかけている人ほど、

呪術師からの攻撃の的になりやすい”…」


「もし本当に神坂さんが魔法師になりかけていて、

呪術師が寄ってきたとすれば、

彼女が“なりかけ”の状態であるという証拠にもなりますね。

…あまり褒められた発言ではないですが」


玲音がそう言い、苦笑いする。


「もしもだとしても、最悪の事態は未然に防がないとね」

鈴菜はいつもの声音でそう答えるが、

玲音が見た彼女の横顔は余裕がないように見えた。


考え込むように少し体を屈め、鈴菜の目が水色に光る。

魔力を使い、静かな空間の中、すばやく広く意識の網を張る。


『魔力探知』。

魔法に優れ、限られた人間が使える一種の能力。

魔法師や呪術師の魔力を探る方法。

使える者は主に魔法師の居所を把握できるが、

鈴菜の場合は呪術師の居所も同じくらい色濃く認識できる。

そして、一般人に宿る魔法の予兆も。


鈴菜は意識の網の中、一人の存在を探り当てる。

「これは…神坂さん。魔力が宿りかけてる予兆…」

「やっぱりそうなんですね、神坂さんはなりかけで」


玲音の続くはずの言葉は轟音によってかき消される。

「呪術師が彼女のいる方へ向かってる!レノ君!」

鈴菜は玲音を見て手を伸ばす。


玲音はカバンから取り出したであろう、

魔導大図書館の紋章のついた帽子を身につけ、

鈴菜のカバンから紋章のついた手袋と小型銃を素早く取り出す。


「先輩!」

そう言って、鈴菜に軽くパスするように投げ渡す。

彼女の伸ばした手の中にそれらは収まる。


「行こう!」

逃げ惑う人々とは反対方向へ、

二人の若者は駆け出した。混乱の元凶へと。

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