NO.17 集結の都市
『魔導大図書館付近の国道にて、呪術師が出現しました。
魔導大図書館内、並びに付近にいる方は、
速やかに隣接する第一魔導専門病院へ避難してください。
繰り返します。魔導大図書館付近の国道にて――』
せわしなく人々が行き交う中、
二人は腰を上げ、落ち着いた様子で言葉を交わした。
「呪術師が出現……。しかもこんな近くに。先輩、どうしますか?」
「うーん……。ひとまず備えておこう」
鈴菜はズボンの後ろポケットから、紋章の刻まれた手袋を取り出し、
左手にはめながら答えた。
その仕草に続き、玲音も紋章入りの帽子を被る。
「今日はアヤちゃんと一緒に来たんだ。合流してもいい?」
「はい。探しに行きましょう」
「ありがとう。まずはゲート前の広間に!」
二人はベンチを離れ、混乱の人波をうまくすり抜けながら走り出した。
鈴菜の後ろを玲音が追い、広間へと向かう。
⸻
広間に到着すると、鈴菜は両膝に手をついて息を整え、
玲音は辺りをきょろきょろと見回す。
「はぁ……ここも、人が多い!」
「先輩はここで待っていてください。
いつもの医務室ですよね? 僕が探して――」
彼の言葉は途中で途切れた。
言葉が途切れたことに異変を感じた鈴菜が、彼に目を向ける。
「玲音くん、 一体どうし――」
「先輩、あそこにアヤメちゃんが!」
鈴菜は体を起こし、玲音の指差す先を見る。
「あ、本当だ」
「アヤメちゃーん!こっちだよ!」
「あー!レノくん、 スズ姉!」
広間を不安げに歩き回っていた菖蒲と、
後ろから医務室の先生が二人に気づいて駆け寄ってきた。
四人が合流すると、玲音が口を開く。
「先生も一緒だったんですね」
「ええ。この子を一人にするわけにはいきませんから」
先生は状況を素早く見極め、続ける。
「あなたたちは『任務』に向かいなさい」
「ですが、ここにも同じ任務を任された人たちがたくさん……」
鈴菜は反論しかけ、ふと何かに気づいたように言葉を止めた。
「そういえば、長期任務に行った人が何人もいるんだっけ」
「となると、今ここに残っている魔法師は人手不足、ということですね」
鈴菜に続き、玲音も呟くように言い、同意した。
――『長期任務』。
それは、かつて玲音が二ヶ月間の情報収集に出たように、
長期間にわたって遂行される任務のことだ。
今、多くの魔法師と魔術師が、
『呪術師の阻止』を目的とした長期任務に出払っている。
とある地域に呪術師が集結しており、
その阻止に向かったのである。
――その舞台は。
『東京』と呼ばれる都市であった。




