NO.14 神坂という名
「あら、あなたは私を知らないの?」
鈴菜は目の前の女子生徒が放った言葉に戸惑った。
「正直、心当たりはないです」
「そう……」
その返事はどこか呟くように返され、失望の色は見えず、少し考えるような仕草をした。
だが、後ろに控える二人の女子生徒が小声で話し始める。
「この人……『神坂さん』のことを知らないのかしら」
「そうみたいね」
「そんな人がいるなんて……」
「驚いたわ」
鈴菜は後ろの二人の会話に再び疑問を覚える。
「ええと、それで私に何か用ですか?」
鈴菜が尋ねると、『神坂さん』と呼ばれた少女は腕を組み、答えた。
「なんで魔法師なんかが魔術の高校にいるのかしら?それが不思議でね」
(またそれか……昨日の教師と同じことを言ってる)
鈴菜は落ち着いた様子で冷静に返す。
「魔法師であろうが、魔術を学んでも問題はないはずです。それに、魔法と魔術は違うんですよ」
そのとき、授業開始5分前を告げるチャイムが鳴り響いた。
神坂はその音に一瞬だけ目を向け、再び鈴菜を見た。
「私以外にも魔法師がここにいることをよく思わない人はたくさんいるわ」
彼女はそう告げると、体を横に向ける。
「気をつけることね」
一言だけ残し、後ろの二人を連れてその場を立ち去っていった。
鈴菜はその背中をしばらく見送った後、わずかに眉をひそめた。
(なんだったの、一体)
(『神坂さん』……何者なんだろうか)




