NO.13 中庭の邂逅
― 数日後
鈴菜は魔高の廊下を歩きながら、独り言をつぶやく。
「今日は頑張ってるな、私。三限も授業に出たなんて快挙だよね」
魔術で物を動かす授業、魔術を発動させやすい本を使った授業、そして基本魔術の授業――今日は盛りだくさんだった。
その日の授業をすべてこなしたことで、鈴菜の気持ちは少し軽くなっていた。
今は昼放課の時間。彼女はいつものように魔高の中庭へと向かう。
(……食堂とか人が多いところに行ったら、「魔法師だ」って避けられそうだし)
鈴菜が中庭を訪れる理由は静かだからというだけでなく、自分の立場を意識してのことだった。
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ガラス扉を開け、中庭に出ると、程よく暖かい風が鈴菜を包んだ。
その風を感じながら、鈴菜は木陰の定位置に腰を下ろし、足を伸ばして弁当を広げる。
「いただきます」
弁当箱は二段型。一段目にはぎっしり詰まった白米、二段目には彩り豊かなおかず。
(おいしい……弁当作りにも慣れてきたな)
自作の弁当を味わいながら、鈴菜はほっと一息つく。この静かな時間が彼女の癒しだった。
昼食を終えると、芝生の上で仰向けに寝転がる。
「……ふぁ」
控えめにあくびをして、彼女は自然と眠りについた。
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授業開始十分前のチャイムが遠くから聞こえ、鈴菜は目を覚ます。
(……そろそろ見回りに行こうかな)
ガラス扉へ向かい、扉に手をかけたその時、鈴菜の動きが止まる。
扉の奥――廊下に立っていたのは見知らぬ女子生徒三人組だった。その真ん中にいる一人が鈴菜をじっと見つめている。
「はじめまして、魔法師さん?」
挑発的な響きを含んだその言葉に、鈴菜は身構える。
だが、すぐに冷静さを取り戻し、静かに返した。
「……はじめまして。魔術師さん」
二人の間に張り詰めた緊張感が漂う。中庭の木々が揺れ、光と影が彼女たちの顔に陰影を与えていた。
そよ風が鈴菜の髪をなびかせ、静かな中庭に新たな波紋が広がる予感を残した。




