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NO.11 対峙

「こっちの方から聞こえる!」

わたしは、廊下を駆ける校長先生の背中に向かって声を上げた。


「そうだね」


わたしたちは角を曲がり、先ほど光が瞬いた教室を目指してさらに速度を上げる。



「校長先生、さっきの光って……?」

気になりつつも、予想はついていた。確認のため、尋ねてみる。


「あれは魔術と魔法の衝突で生じたものだね。ただ、誰と誰がぶつかったのかまでは分からない」


やっぱり――『魔導』が関係してるのね。


(まさか、スズ姉……?)


不安が一層膨らむ中、目的の教室が見えてきた。



「ここ?」


「よし、着いたよ」


三澤校長が勢いよく教室の扉を開け放つ。


その瞬間、目に飛び込んできたのは、対峙する二人の姿――。


そのうちの一人を見た瞬間、驚きと焦りで声を上げた。


「スズ姉!」



呼びかけに反応し、彼女はちらりとこちらを見た。


「アヤちゃん? ……校長も一緒でしたか」


スズ姉のいつもの柔らかな笑顔はそこにはなく、代わりに胸に手を当て、苦しそうな表情が浮かんでいた。


その向かい――尻もちをつき、怯えた目でこちらを見上げる教師。


「こ、校長先生!? な、なぜここに……」


震える声で教師が尋ねる。


(その目、スズ姉をそんな風に見るなんて!)


怒りが込み上げ、気づけば私はその教師を鋭い目つきで睨みつけていた。


「ひぃっ……」


怯えた声を聞き、ようやく自分の表情に気づき、視線を逸らす。


「先程の光は、魔術と魔法の衝突だったようですね」

三澤校長が状況を察した口調で言った。


「雪谷さん、何があったのか教えてくれますね?」


校長先生の視線を受け、スズ姉――雪谷鈴菜は苦しさが少し和らいだ顔で静かに頷いた。



スズ姉と三澤校長はその場から少し離れ、スズ姉が状況を説明する。


「なるほどね」

校長先生は一呼吸置いて、重々しい声で続ける。


「この学校では魔術師が主流です。魔法師に対する無知や偏見があるのも事実でしょう。

だが、無知を理由にいざこざを起こすのは許されない。雪谷さんが正当防衛をしたことは理解できます。ですが――」


校長先生の視線が教師たちに向けられる。


「この場にいる全員に言っておきましょう。魔術と魔法は異なる力です。

だが、それぞれに利点と欠点があり、優劣を決めるものではない。

雪谷さん――魔法の欠点について話してもらえますか?」


突然の指名に驚くことなく、スズ姉は冷静に答えた。


「……魔法の欠点は、魔法師の体力を直接消耗すること」


その言葉に、教室内の空気が一瞬凍りついた。


校長先生が重ねるように言葉を続ける。


「そう。魔法師はその代償を理解しながら力を使っているのです。

君たちはそれを知った上で、どう向き合うかを考えなさい。

今日の件は私が対処しますが――再び同じことが起きれば、相応の処罰を考えることとする」


教師と生徒たちは押し黙り、スズ姉も静かに頷いた。


その場を収めた校長先生の背を追いながら、私はスズ姉の横顔を見つめる。


(スズ姉……今度、ちゃんと話を聞くからね)


わたしの胸には新たな決意が芽生えていた――。


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