NO.10 嫌な予感
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校長室に到着してから十数分が経過していた。
しかし、いつもなら私より早く来るはずのスズ姉がまだ姿を見せない。
「……どうしてだろう?」
思わず呟いたその言葉に、三澤校長が答える。
「僕も同じことを考えていたよ。鈴菜ちゃんが連絡もなしに遅れるなんて珍しいね」
校長先生の真剣な顔つきが、さらに胸騒ぎを大きくする。
「……この前、教室で寝てたことがあったから、今回もそんな感じかもしれませんけど」
少し苦笑いを浮かべてみせたものの、スズ姉の寝顔を思い出してしまい、つい頬が緩む。
(いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃない!)
胸の中にじわじわと広がる嫌な予感。
それが一層濃くなっていくのを感じていた――。
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その時、校長室の外から突如聞こえてきた。
教室の扉や窓が軋むような、異常な音が――。
「!?」
驚きに体が反応し、ソファに深く座っていた私の背中が勢いよく起き上がる。
「何かあったようだね」
校長先生はいつもの落ち着いた声とは違う、冷静かつ鋭い口調でそう言った。
「僕は様子を見に行く。菖蒲ちゃんはどうする?」
その問いに、迷いなどあるはずもなかった。
「もちろん、一緒に行きます!」
「分かった」
校長先生は私の返答を予想していたかのように頷き合い、すぐに行動に移った。
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廊下に出ると、風が壁に叩きつける音が一層大きく響いていた。
――スズ姉の元へ急がないと。
そんな思いで、私は校長先生の後を追い、音のする方へ走り出した。
廊下の向こうには、私たちの不安の答えが待っている――。




