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―WizardRye― 〜灰だらけのシスターと酒まみれの冒険者〜  作者: しいたけ
棺の山のクリスタと堕ちた男
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神の御意思

 寺院がまともに機能する様になると、遺体の投棄は日に日に減り、日中の蘇生依頼が増えるようになった。

 クリスタはデアスの助言から蘇生料をお布施として僅かながら取るようになったが、リースの時よりはるかに安い料金で蘇生して貰えるとの事で、逆に蘇生依頼が増えてしまった!



「あのー……まだかかりそうですか?」

「すみません、もう暫くお待ち下さい」

 クリスタは休む暇無く次の蘇生の儀式に取り掛かる。


「ワンコインで生き返れるんだ。当然死のリスクよりお宝のリターンの方が大きくなる。だからきちんと料金を取るべきだと言ったろう?」

 毒や石化した冒険者の手当を行っていたロードの小言がクリスタの胸に突き刺さる。


「これで手当代の方が高かったら『あれ?死んだ方が安いぞ?』って事になるだろうが……」

 デアスは二束三文の手当代を受け取ると、もう手当待ちの冒険者が居ないことを確認し一息着いた。


「ふぅ……」


(見たところ、クリスタのLvはそこそこ上がって呪文も半分以上は覚えた様だな。後は何回か実戦投入すれば多少は使えるようになるだろう……。しかし、まだ最下層へ向かうには人数が足りないな。最低でも前衛が後1人は欲しいとこだが……)


 ロードは蘇生された遺体から使える冒険者が居ないかどうか見るも、その殆どが新米の冒険者だった。



「全ては神の御意思……我々はその時まで祈るのみです」

 蘇生を終えたクリスタがロードの隣りに来ると、深く深呼吸をした。

「信じる者はすくわれる、ってやつか?」

「ええ!」

 クリスタはにこやかな笑顔で次の冒険者を迎えに行った。


「アイツがすくわれるのは、足下だろうな……」

 破滅の匂いが漂う幼きクリスタに、愛想を尽かすこと無く面倒を見てしまうのは、その奥に彼女の面影を見ているからなのか……。


「……ナデシコ。待っていろ必ず迎えに行く」



「へーーい旦那!!遊びに来たよー!」


 寺院の扉を荒々しく開くと、陽気な声と共に一陣の風を纏ながらカズハがロードの前へ颯爽と現れた!


「おい、もう少し静かに来れないのか?」

「あ、ごめんお取り込み中だった?もしかしてクリスタちゃんと×××してたの?この浮気者!」

 下品な笑みを浮かべながらカズハはロードを肘で突いた。


「色々と突っ込みたいが、あえてスルーするぞ」

「突っ込みたい、だってさ!やっぱり旦那ったら嫌らしい~」

 ロードは無言でカズハの頭に拳をお見舞いした。


「いったーい!旦那ったらか弱き乙女に何するのさ!」

「すまん、何故か気が付いたら手が出ていた。ところでお前の知り合いに実力のある冒険者は居ないか?」


「何々?派手にドンパチやるの!?」

 カズハは嬉しそうにロードの正面に座ると、ロードが飲んでいた紅茶に手を掛けた。


「地下10階に、クリスタが行きたいそうだ」

「へ?」

 カズハはカップを持ったまま唖然とした。


「私、地下6階までしか行った事無いよ?地下10階なんて行けるの?」

「俺も地下8階までだ。そこで、実力のある冒険者を探してる所だ」

 カズハが空にしたカップを受け取ると、ロードは新たに紅茶を注ぐ。本当は砂糖を入れたいが、あいにくこの寺院に砂糖を買う余裕は無い。


「地下8階って最高到達点じゃん……。前から気になってたけど、旦那って何者なの?」

 その問いに、ロードの顔が険しくなった。


「あ、ごめん。言いたくなければ別に無理には聞かないよ。ただ何処かで見たことなるような気がしてさ」


 ロードは紅茶を一口すすると、諦めた様に語り出した。


「俺は元城兵の警備隊長だ」

「あ!どうりでね。見たことあるはずだわ」


「不始末の責任を取らされ城をクビになったのさ」

「そうなんだ……」


「まあ気にするな。今の生活も中々なものさ」

「私が居るから?」


「……そう言う事にしておくよ」

 ロードは紅茶を一気に飲み干すと、深くため息をついた。

何か薄味ですみません……。

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