過去の栄光を求めて ③
ダンション地下1階。彼は既に後悔していた……。
「ひぁああ!助けて下さい~!」
彼の目の前にはスライムとスケルトンに悪戦苦闘するクリスタが……
「ふん!」
スケルトンの顔を鷲掴みにし、壁に激突させる。一瞬でバラバラになったスケルトンを見て、他の魔物達は逃げ出してしまった……。
「あ、ありがとうございますロード……さん」
「ここまで弱いだなんて聞いてなかったぞ?」
「すみません、私まだLv.1なんです」
「………………え!?」
彼は開いた口が塞がらなかった。
「昨日の地下4階は!?」
「ついていっただけで特には何も無かったです」
「もしかして魔物と戦うのは……?」
「いつも地下1階で……こんな感じです」
「護衛料金は……!」
「頑張ってお支払い致します!」
彼はクルリとクリスタに背中を向け、出口へと向かった。
「待って下さい!!」
クリスタが彼の前に立ち塞がる。
「お願いします!私を強くして貰えないないでしょうか!? 強くなれば護衛料金もお支払い出来ます!」
膝を着き、神に祈るかのように懇願するクリスタ。
「…………」
彼は困惑するしかなかった。その間もクリスタは訴えかけるような眼でこちらを見続けている。
「……分かったよ!その代わり護衛料は1000Gだ!!それに俺はスパルタだ!地下3階へ行くぞ!いいな!?」
その言葉にクリスタは嬉しそうに返事をした。
「はい!ありがとうございます!!」
地下3階に着くまでに、彼は数体の魔物を素手で始末した。
地下3階に到着すると、彼はクリスタに声を掛けた。
「俺の後ろに居ろ。手は出すなよ?」
「え?戦闘に参加しなくても大丈夫なんですか?」
クリスタは目を白黒させた。
「ああ、絶命した魔物から放たれる生命エネルギーは近くに居る者全てに供給される。戦闘に参加しなくても近くに居ればLvが上がる仕組みだ」
「へぇ~初めて知りました。ロードさんは物知りなんですね?」
「この情報は一般には公開されていない。あまり言いふらすなよ?」
お喋りもそこそこに、彼はダンションの奥へと進んでゆく。
「今更ですが……武器は持たないのですか?」
樫の杖を両手で握り締め、左右をキョロキョロしながらクリスタが尋ねた。
「あの斧は昨日死んだボスからの借り物でな。もうアイツには必要ないが、俺の飯代に消えたよ」
ロードは自分の腹を摩る仕草を見せた。
「斧は扱いにくくてダメだ。まだ素手の方が良い……」
戦闘音痴のクリスタには、彼の言っていることがよく分からなかった。
「さ、お喋りしている間に着いたぞ」
そこは何も無い行き止まりだった。冷たい岩壁だけが2人を歓迎する。
「……え? え?」
「お前の仕事は死なずに居ることだ。多少の傷は治してやる。兎に角死ぬな」
そう言い終えると、彼は尋常じゃ無い程の大声で叫び始めた!!
「ウオオオオオオオーーー!!!!」
「え!? えーー!?」
クリスタは頭が真っ白だ!
彼の怒号に吸い寄せられるかの様に、大小様々な魔物達が2人の前に次々と現れた!!
“エサだ”
“人間だ……”
“上手そうな女だ!”
そんな事を言っていると思われる金切り声や野太い声で、魔物達は2人を品定めしている。奴らに逃げ道は無い。仕留めるのは時間の問題だ……。
「あわわわわ……」
クリスタは震えが止まらなくなっていた。
ジリジリと魔物の群れが2人に詰め寄る。
そして一匹のウサギが跳びかかったのを合図に、魔物の群れが一気に押し寄せた!!
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