いつもの4人 ③
「とりあえず報告は俺とフェリーで行ってくる。リースはエルを何とかしてやってくれ」
股間を手で隠したままのエル。見付からないようにコソコソと人目を気にしながらリースと共に保健室へと向かった。
「なるほど、大体分かりました。後は此方で調べることにしましょう。探索お疲れさまでした」
校長室にて教頭同席の下、報告を行ったリーダー。
「服を破る程度のイラズラっ子だ。生徒の訓練には丁度良いだろう」
「オイラも中々楽しかったよ」
2人は報酬を貰い、校長室を後にした。
保健室へと向かうと、そこにはジャージ姿のエルがいた。
「ゴメン、他に服無かったわ」
サイズの小さいジャージを着ているせいか、パツパツだ。
「パツパツだな」
「パッツンパッツンだね」
「ちきしょう、笑いたければ笑えよ……」
4人が保健室を出ると、数人の生徒たちが居た。
「あ!お師匠さ――」
「しー……!」
エルを取り巻くように生徒たちが周りを取り囲む。
「どうしたのかしら?」
「い、いや何でも無い、無い!」
エルは必死で首を横に振った。
「ほら、解散解散」
と生徒の肩を押しながら、こっそり生徒の1人にメモ紙を渡すエル。
「? まあいいわ。迎えの馬車まで送るわよ」
「リースはまだ居るのか?」
「ええ、この学園に僧侶を増やしたら帰るわよ」
「早くしないと寺院が死体で埋まるぞ?」
「げ! 分かったわ。なるべく早く帰るわよ……」
「じゃ、また会おう」
3人を乗せた馬車はいつもの街へと走り出した。
にこやかに手を振るリース。ライ麦畑沿いを馬車が砂煙を巻き上げながら走る姿は、少し寂しげであった……。
「……なんか教室が騒がしいわね」
リースが音のする教室へ近付くと、そこには半狂乱の生徒たちが最上級の攻撃呪文である核反応によるエネルギー攻撃を試し打ちしていた……。
「……だぁれ?こんなの教えたアホエルフは……!!」
「あっ、先生! 見て下さい!メイジ部一同出来るようになりました!!」
生徒たちは無垢な瞳で嬉々として凶悪な呪文を連発している。メイジ部はここ数日で生徒数が増え、教室には大量のメイジと呪文を使える職業を目指す生徒で溢れていた。
「やられたわ……。こんな手でメイジを増やすなんて……」
リースは開いた口が塞がらなかった。
「どうしたエル?さっきから薄ら笑いをしてるが」
「くく、いやいや、今頃学園は大変な事になっているだろうと思うとな」
エルは高らかに笑った。
「最後何か渡してたけど何教えたの?」
フェリーの悪そうな顔が、エルのイタズラ心をよりくすぐる。
「古の核呪文をな……コツを教えただけだよ。アイツら覚えが早いから今頃使えるようになってるだろ」
「いいの?そんなの教えてちゃって」
「いいんだよ細けえことは。同じようにやりゃあ僧侶もすぐ増えるだろうよ。生徒も強くなって言うこと無しさ! まあアイツはアイツなりのやり方でやるんだろうけどさ……」
「ふ~ん……リーダーは呪文覚えないの?」
「俺はこの剣があれば十分だ。呪文はお前たちに任せるよ」
リーダーは静かに笑った。その顔は呪文に引けを取らない自信が溢れていた。
馬車は何も無い長く続く景色の中を進み続ける……。




