いつもの4人 ①
「さて、今回の依頼内容を確認するぞ」
リーダー含めいつもの4人と、教頭先生がダンジョンの外に居た。
「ダンジョンの階層確認とモンスターの確認。それと宝箱の罠も調査だ。中身は回収後学園側に引き渡す。報酬は1人12000Gだ」
チラリと教頭を見ると、教頭は無言で頷いた。
「良し、行くぞ……」
4人は渡された地図を便りにダンジョンへ潜り始めた。
地下3階まではリースの情報通り問題無く探索を終え、問題の地下4階へ続く石段の前へと到着した。
「なぁ、ダンジョンの難易度によっちゃあ1人12000Gって、割に合わなくないか?」
地上では聞けなかった疑問に口を開いたのはエルだった。
「教員達の話しじゃ物理攻撃が効かないモンスターが出るみたいだな。きっと倒せないわけじゃ無いだろうけど、手に負えないのは確かだろうな」
「で?裏の作戦はあるのかい?」
フェリーが興味深そうにリースを覗き込んだ。
「……地下5階が在れば、そこに目星い宝を残しておいて後日回収……って所かしら?」
「何て恐ろしい事を思い付く先生だろうか!?私は契約に従い行動するだけだ」
リーダーの口が腹話術の人形のようにカタカタと動く。
「どうやら当たりの様だな。地下5階なら教員達も移動呪文で来れないからな」
「わぉ!流石はリースだね。よっ!悪徳!」
「はいはい、どうせがめついですよ……」
裏の作戦会議をしながら石段を下りると、4人はガス状の生物を見つけた。
「あれか……」
「で?」
「当然叩っ切る」
リーダーは大剣を構え、後ろから容赦無く斬り伏せた!
身体が分断され、元に戻ろうとするガスクラウド。
しかし、その身体は散り散りに消えてしまった。
「ふん、こんなもんか。俺の剣なら何も問題無いな」
リーダーの大剣には魔力が籠められており、物理攻撃が効きにくいモンスターへの対抗策となっていた。
「さ、ガンガン行くとするか」
ガスクラウド以外にモンスターはおらず、階層も狭かった為、地下5階への階段はすんなりと見つかった。
「嬉しいような残念なような……」
「4階で終わりなのが一番美味しかったかもね」
「冒険者としては薄味だがな」
「へへ、ちげえねぇ」
4人は蜘蛛の巣がびっしりと張られ、かなり長い間行き来されていない石段を一歩ずつ慎重に下りていった……。
地下5階は東西南北4つに分岐しており、探索の面倒さが覗えた。
まずは北の通路を進む4人。通路は酷い埃で、歩く毎に大小様々な浮遊物質が舞い上がっては、キラキラと照明呪文の光りで輝きを放っていた。
「これじゃあ普通の生き物は居ないだろうな……」
リーダーは気配を圧し殺し、行き止まりにあった小部屋を覗き込んだ。
「ちっ、外れだ」
小部屋の中は何も無く、部屋には4人の足跡だけが残った。
東の通路を進むと、突然奇妙な霊体が姿を現した!
酷く醜いその顔は、4人の姿に驚くことも気にすることも無く、まるで4人が見えていないかの様に左右に蠢いては南の方に消えていった……。
「あれは一体……」
「普通の生き物じゃなさそうだな」
エルは期待を籠めて霊体が消えた方を見つめた。
「待て! 戦闘準備、何か来るぞ!」
突然リーダーが声を上げた。
まるで霊体に呼応するかの様に、前方の埃臭い岩壁の天上から、雫が垂れ下がるかの様に黒い影が2つ現れた!
したたる殺意 2
「喰らいやがれ!」
エルの先手必勝火炎弾が放たれる!
しかし、影は素早く岩壁に引っ込んでしまい、火炎弾は何も居ない岩壁に当たった。
「気を付けろ!どこから来るか分からないからな!」
4人は周囲を見回して警戒する。
のっそりと地面から伸びる影。
フェリーがそれに気付いた時には、既にリースの足首にまで影は迫っていた。
「リース!足下にいるよ!」
「えっ!?」
慌てて後ろへ飛ぶも、ギリギリの所で影はリースの足首をかすめていった!
フェリーが影を斬り落とし、影は空気中に霧散した。
* リースは若さを1失った! *
リースの身体を突然虚無感が襲い始めた!
まるで盆と正月が一気に通り過ぎていったかの様な年月の経過を、身体が倦怠感として感じ取っていた。
「リース、大丈夫か!?」
リーダーが様子を探るが、一見外傷は無さそうだ。
「……最悪」
リースの顔から血の気が引いていく。
「どうした!何をされた!?」
エルが警戒しながらリースを案じた。
「コイツらに触られたら年を取るわ!」
絶望の表情に満ちた顔は、まるで地獄の底を見たかの様な凄惨な面持ちであった。
「なーんだ」
「それだけかよ……」
エルとフェリーががっかりした顔でリースを見る。
「はぁ!? こちとらアンタ達と違って短命なのよ!? あーもう! 報酬と割に合わなくなったじゃない!!」
リースは激しく地団駄を踏んだ。
リーダーの後ろから伸びる影に、リースは怒りの笑顔で最上位の攻撃呪文を打ち込んだ!
影は一瞬で四散し、後には何も残らなかった……。
(年齢の事は触れないでおこう……)
リーダーとエルはお互い目配せして何かを察し合った。
「ところでリース。いくつになったの?」
* おっとっと *
フェリーは突然謎の麻痺に襲われた!
無言で助けを求めるフェリー。
しかしエルとリーダーは無言で手を合わせた……。
「あらあら 大変。直ぐに治さないと……ね!!」
フェリーの頭に鷲掴みにするリース。
その顔はまさに悪鬼羅刹!
フェリーは手厚い看護を受け、暫く何も語らなかった……。




