ならず者の賛歌
異様な3人組を引き連れ、トウマは校長室へと向かった。
「失礼します」
トウマは校長室の扉を開け、校長先生へ会釈すると中へ入るよう3人を促した。
そして、扉を閉めたトウマは聞き耳を立て中の様子を覗い始めた。
「どうも遠いところ御足労頂きまして恐縮です」
校長の挨拶からそれは始まった。
「挨拶は結構。早速依頼内容の確認へと移りたい」
「分かりました」
校長の引き出しの音が微かに聞こえる。
「此方へ覗うのは4人と聞いていたのですが?」
「1人はもう既に着ています。金に汚いシスターが居るでしょう?」
「なる程……。トウマ君。すまないが保健室へ行ってリース先生を呼んできてくれないかな?」
その言葉にトウマは心臓が飛び出しそうな程驚いた!
聞き耳がバレていたのか、ハッタリなのか、トウマはとりあえず無言でその場を後にした……。
(リース先生はアイツらの仲間だったのか……。て、ことはアイツらも滅茶苦茶強いのか!?)
トウマは保健室の扉を静かに開けた。
「あら?どうしたのトウマ君」
椅子に座って事務作業をしていたリース。
「こ、校長先生がお呼びです」
トウマは緊張した面持ちで要件だけを速やかに伝えた。
するとリースの顔が明るくなる。
「もしかして、こんなの来てたかしら?」
リースは顔を三本指でなぞり、傷痕のジェスチャーをした。
「はい、居ました」
「これはこれは!?」
今度は人差し指で目を吊り上げた。
「ええ、居ました」
「こんなのも?」
両手で10cm程の隙間を作る。
「ええ……」
「そう!ありがとう!」
嬉しそうな声でリースは校長室へと駆けていった。
その後をトウマは追いかけ、リースが入っていった校長室に再び聞き耳を立てた。
「では揃った所で依頼の確認を……」
先程より小声になってしまい、トウマは中の様子を覗うことは出来なかった。時折傲慢そうな男の声が聞こえたが、肝心な部分は何一つ聞こえず諦めて帰ることにした。
「ゴンベも最近真面目にやってるし、あの日以来何だか学園も変わっちまったなぁ……」
トウマは寂しそうな目をするも、すぐに前をむき直しひたすらに歩いた。
校長室での話しが終わると、4人は保健室へと移動した。
「先生とやらと話してると息苦しくてしょうがねえぜ……」
ポキポキと首を鳴らすエル。
「あら、私も今は先生よ」
リースは目を丸くした。
「けっ、こんな悪い先生居てたまるかよ!」
エルが保健室にある冷蔵庫を開けると、奥の方に隠してあった酒瓶を取り出した。
「あっ、私のマジカルポーション!」
リースは素早く酒瓶を引ったくって机に置いた。
「何がポーションだよ。どうせ大人の味何だろ?少し飲ませろよ」
「ダメよ!ここは学園なんだから昼間から飲まないで頂戴!」
リースは子どもをしつけるかのように人差し指を立てて注意した。
「はいはい、リース先生」
エルは渋々酒瓶を冷蔵庫に戻した。
「先生、ちょっと良いですか?」
保健室の扉が開き、生徒の声が聞こえた。
生徒は保健室にいた3人を見ると、少し怯えた様子でリースを手招きした。
「私は仕事に戻るけど、アンタ達も明日に備えて宿に戻るのよ?」
と言い残し、リースは保健室を後にした。
「すっかり先生が板に付いてるな……」
「けっ!今に化けの皮が剥がれるさ!」
「オイラも先生になれるかな?」
「止めとけよ。全裸忍者が教壇に上がるつもりかよ」
「何を~!」
そんな会話がなされつつも、エルとフェリーはしっかりと冷蔵庫の酒瓶に手を付けていた。
「リーダーもどうだ?」
エルが酒瓶をリーダーへ差し出した。
「…………一口だけな?」
「共犯者1名ご案内~!」
昼間の保健室で、ならず者達の酒盛りが始まる。




