モーニングコーヒー
タイトル回収。
これでもう何やっても大丈夫だな(確信)
――酷く目覚めの悪い夢を見た。
見たことの無いモンスター達が俺の前に現れては、俺をバカにするように周りをグルグルと回り始めた。
仲間たちは次々と襲われ、無臭の血液だけが床に広がる。
俺は何もすることが出来ず、仲間が死にゆくのを見ることしか出来ない。
ゴンベの最後の顔は思い出せないが、俺の周りを回るウッズの顔は今でもはっきりと覚えている。
俺をバカにした顔をしているのをな……
ここで俺は目が覚めた……。
「……………………」
俺はあの時死んだのか?
小部屋を出ようとした時、急に意識が無くなったのは、先生が何かしたからか?
皆は怒っているだろうか?
先生は何て言うだろうか?
……考えても疑問は尽きない。窓へ目を向けると、朝日が昇っていた。
俺は寝ていたソファから起き上がると、物音がするキッチンへと目を向けた。
ポットのお湯が沸き、先生と思われる人影がキッチンに立って何かをしていた。
……コーヒーの匂いだ。
小さなお盆にカップが2つ。テーブルに置かれたコーヒーの湯気が温かい。
「おはよう。冷めないうちにどうぞ」
俺は無言でコーヒーを口にした。
感想としてはクソ苦いの一言だ。
これが大人の味って奴なら、一生子どもの味で結構だな。
先生も無言でコーヒーを口にした。
無言の空気が重い……。
俺が起きてからどれだけ時間が過ぎただろうか……。
「何て言って欲しい?」
俺は先生が何を言ったのか分からなかった。
とにかく帰りたかった。
「いや、聞き方が悪いわね。トウマ君はどうなりたいのかしら?」
その言葉に、昨日のウサギ達を思い出す。
「強くなりたい……です。誰にも負けない冒険者に……」
自分でも驚く位に本音が簡単に出た。
「そう。それなら先ずは認めないとね」
「……自分の弱さを」
俺は自分の愚かさを知った。
自分の弱さをウッズにぶつけ、単独行動をしようとした。
俺はウサギ達に弄ばれたけど、アイツは対処出来ていた……。
俺は……ウッズより弱いんだ……………………
泣くことしか出来ない俺を、先生は優しく慰めてくれた。
モンスターを瞬殺する死神の手は、コーヒーの熱で温かくなって心地良かった……。
先生に別れを告げ、俺はこっそり家に戻り何気ない顔でお袋に朝の挨拶をした。
「どこ言ってたの!?」
何故かバレている。
「お、女の家だよ!!」
嘘は言っていない。
「えっ!?彼女かい?」
……何て言おうか困ったぞ。
「そ、そんなとこだよ!」
俺は慌てて自分の部屋へ入る。
……静かな自室で購買部で買った剣を握りしめると、昨日闘ったゾンビの感触を思い出す。
窓から見える学園の側には、朝日で光り輝くライ麦畑が広がっていた。
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