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これぞ冒険! ③

 再び気を引き締め、ダンジョンの奥へ進む5人。

 リースの指揮に順応する生徒たちは、次第に要領を掴み始め動きも良くなってきた。


(嗚呼、若いって良いわねぇ。ドンドン教えたくなるじゃないの!)


 リースの口角が上がり、ニヤけるような笑いが止まらない。



「先生、隠し扉です!」

 トウマが岩壁に向かい、声を上げた。


「どれどれ……」

 リースが手を伸ばすと、岩壁をすり抜けるように身体が奥へと進む。

 隠し扉の先は小部屋になっていて、()()()が5匹戯れていた。


「あ……ウサギ」


 シルフィが可愛らしい物を見る目で見つめるが、ウサギ達はリース達の存在に気付くや否や、赤い瞳を光らせながら有り得ない程鋭利な牙を剥き、生徒たちに襲いかかってきた!!


「……怖い」

 シルフィは一瞬にしてウサギが嫌いになった。


 

  リーパーラビット 5


「気を付けて!油断すると首が飛ぶわよ!!」


 その言葉に生徒たちの緊張が高まる。

 トウマは颯爽とウサギに斬りかかるが、すばしっこい動きでちょこまかと避けられてしまう。


「く、くそ!」

 焦れば焦る程に、剣筋が鈍っていく。


 ウッズは冷静に剣を構え、向かってきたウサギを払うように切り落とす。


「トウマ焦るな!」

 ウッズがトウマを気に掛けるも、トウマは既に頭に血が上っており助言に耳を傾ける余裕は無かった。


 シルフィも呪文で攻撃するが、一撃では倒せずウサギの反撃を喰らってしまう。



「流石に数が多いわ!全員下がって頂戴!」


 リースはウサギから生徒たちを護りながら呪文を詠唱した。

 闇雲に剣を振り回すトウマだったが、呪文を詠唱するリースが目に入ると少し冷静さを取り戻し、息を切らしながらも後ろへと下がっていった。


「可愛い生徒たちに手出しはさせないわ!」


 リースの呪文がウサギ達に広がり、ウサギ達の周りから空気が無くなると、目は飛び出し、舌を出して泡を吹き窒息して死んでしまった。


「……怖い」


 シルフィの呟きが誰に向けられたのかは一目瞭然だった。

 首を飛ばすほどに恐ろしいモンスター達を一撃で葬り去るリースの姿は、まさに死神の様だった……。


 ウサギ達の全滅を確認すると、リースは後ろを振り返った。

 生徒たちの顔は強張っており、ウサギの死の恐怖と未知への畏怖嫌厭、リースへの純粋な恐怖が全面に表れていた。


「怖がらせてゴメンね」

 リースはシルフィの手を取ると、傷の治療を始めた。


「……もう帰ろうよ」

 ゴンベは恐怖に勝てなくなり、泣き始めてしまった。



「俺は帰らねぇぞ!!」


 トウマの怒号が木霊した。


「こんな所で終われるかよ!!」

 先程の戦闘で不甲斐なさを見せたトウマは怒りで我を見失いつつあった。


「トウマ!落ち着け!!」

「ウルセェ!俺に指図するな!!」

 ウッズの静止を振り切り小部屋を出ようとするトウマ。

 しかし、出口で急に意識を失ってしまう。


「はい、そこまで」


 治療を終えたリースがトウマを抱えると、安らかな寝息と無垢な寝顔が露わになる。


「眠らせただけよ。そろそろ帰りましょうか」

 リースはにこやかに言うと、生徒たちを引き連れ来た道を戻っていった。

 帰り際にモンスターと遭遇したが、リースが呪文で一掃した。






 ダンジョンから出ると、元通りに施錠をして痕跡を消す。


「初めてにしては良かったわよ。今日在ったことは皆だけの秘密よ。バラしたら……」


 生徒たちの頭に、死んだウサギの顔が過る。


「……誰にも言いません」


「ふふ、良い子たちね。きっと今日一日で皆強くなったわよ」

 リースはトウマを抱えたまま、自分の部屋へと戻っていった……。


 無言でお辞儀をする生徒たち。




「先生行っちゃったね……」

「……ああ」


「ねぇ、早く帰ろうよ~!」


 3人は足早に家路に着いたが、誰1人としてその日は眠れなかった……。

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