死地より愛を込めて ⑤
蘇生には限界がある
灰状態で失敗
体力が0になる
寿命
勿論例外はあるが、ほぼ手詰まりだ。
こうならないために冒険者達は命を大切にするのだ。
「今度こそお願い!」
リースは蘇生呪文を唱えながら、エルとの思い出が頭を過っていた。
いつも酒ばかり飲んでいる姿しか思い出せないが、このパーティに欠かせない重要な仲間だ。
詠唱を終え、リースが最後の祈りに入った!
「戻ってこい!!」
リーダーの声が静かな小部屋にこだまする。
……
…………
……………………光りに包まれた遺灰が徐々にエルの形へ戻っていく…………
「……あ……やった!」
思わずリースが声を上げる。
眩しい光りからエルが立ち上がり、先程までと変わらぬ元気な姿がそこにはあった。
「……ワリぃ。手間掛けさせたな」
エルは頭を掻くと、申し訳なさそうにリースを見た。
リースの顔には涙が零れ始め、止め処なく溢れた。
「お、おい!泣くことねぇだろ!」
エルが周りに助けを求めるように見渡すと、リーダーやフェリーも泣いており、グレイまで貰い泣きをしていた。
「エルのアホォ……。今度死んだらタダじゃおかないぞ……」
フェリーの顔は涙と鼻水とヨダレでグチャグチャになっていた。
「良かったなぁ!灰になったときはもうダメかと思ったけどよぉ!」
グレイが口を滑らせた……。
「ん!?何だって!」
エルが尋常じゃ無い速度で首を捻り、リースを見た。
「へへ、ゴメンね。一回失敗しちゃった」
リースが笑いながら頭を掻いた。
「おいおい!俺様灰になったのかよ!」
「だから体力付けとけって言ったでしょ!」
「このインチキ寺院のヘッポコシスターめ!」
「な……!! アンタ金取るわよ!!」
「そっちこそダンジョンに置いてくぞ!!」
高Lv術者による極めて低Lvな争いが始まる。
リーダー達は涙を拭きながら、その姿を笑い合った……。
「……アイツが持ってた」
カリンがベネットの死体から、ダイヤが装飾された指輪を取り出した。
「ほう、これは中々……」
大きめのダイヤが1つ付いた指輪は、付加価値を差し引いてもそれなりの値段がしそうな位に綺麗だった。
「それじゃ、そろそろ行くか。きっと姉妹の行った道が正解だ……」
リーダーはベネットの死体を一別すると、来た道を戻り始めた。
「なぁ、俺の蘇生っていくら位するんだ?」
戻り道の最中、エルがリースに疑問を投げかける。
「そうね、5万Gくらいは貰おうかしら」
「はっはっは!それじゃあ気軽に死ねねぇわな!」
「あ、それとアンタ蘇生した時に体力も下がってるから、次はもっと蘇生率下がるわよ」
「げ!! マジかよ……」
リースとエルはお互い笑い合い、ここがダンジョンの下層である事をしばし忘れた。




